バチカンから見た世界(141) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

さらに、ギャラガー大司教は26日、国連本部で開催された同国際デーに際するハイレベル会議でスピーチ。「核兵器廃絶は道徳的義務」と定義しながらも、「核兵器保有諸国が、NPT第6条(締約国が誠実に核軍縮交渉を行う義務)を実行せず、核抑止力への依存度を高めている」と非難した。

こうした世界の状況を考慮し、バチカンは、各国政府が核兵器の先制不使用政策、二国間武器管理プロセスの活性化、CTBTの発効、核分裂性物質とネガティブな安全保障に関する条約制定に向けた交渉の開始などを含む、核軍縮に関する対処を再活性化させるようにと呼びかけている。

バチカンは、「核兵器とは、“恐怖のメンタリティー”を基盤とする虚偽の安全保障を提供し、人道的、環境的な大災害の危険へと導くもの」と示し、「核兵器の全面的廃絶を実現するためには、相互信頼を基盤とする集団的対処が必要とされる」と訴えている。

さらに、バチカン国務省外務局多国間関係担当次官補のダニエル・パコ神父も26日、ウィーンで開催された「国際原子力機関(IAEA)第67回総会」で演説。聖座(バチカン)の「核兵器から解放された世界の構築は必要であり、可能である」との見解を強調しながら、イランの核合意、北朝鮮による核開発、ウクライナ南部のザポリージャ原子力発電所に関する憂慮を表明した。

一方、ロシアのプーチン大統領は28日、国有原子力開発機関「ロスアトム」に送ったメッセージの中で、「ロシアは新しい核兵器を開発している」と明かした。