バチカンから見た世界(139) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

また、「私たちの土地である聖地で、正義にかない、恒久的な平和に向けて努力することを約束する」と強調。「離散させられたパレスチナ難民と、彼らの子孫が(祖国に)帰還する権利」にも言及し、帰還問題が中東紛争解決の中核であると指摘した。そして、キリスト教の信仰は、「皆が同じ人類家族の兄弟姉妹」と説いており、「私たちは、平和、寛容、正義を実現するため、一致、協力しなければならない」と訴えた。「愛、慈しみ、相互尊重が世界平和構築への道」とも説いており、その原則は聖地で特に重要であると呼びかけた。

さらに、「正義と和平が中東地域の安定と繁栄の鍵」と主張。「聖地の管理者であるハシミテ(ヨルダン国王)によって保障され、数世紀にわたって培われてきたさまざまなキリスト教聖域の管理権に関する慣習(Status Quo)の遵守(じゅんしゅ)、維持による聖域の擁護」「国際法と国連決議案を基盤とする、恒常的で正義にかなった和平への努力」がなされるようにと願った。

世界教会協議会(WCC)も5月16日、「ナクバの日」に際したジェリー・ピレー総幹事名のメッセージを発表。イスラエル軍によるガザ地区での空爆や武力行使は、「子供を含む無防備の一般市民を殺し、傷つける行為であり、法的にも道徳的にも、一国家(イスラエル)の防衛権とは認められない」と非難した。

そして、エルサレムのキリスト教指導者たちの合同声明文に「連帯」を表明。ユダヤ教、キリスト教、イスラームによって分かち合われた聖都であるエルサレムの位置付けが平和的な対話によって解決されるようにと願い、国際社会に対して「国際協約と決議案を基盤とし、聖地に住む全ての人々の希求を尊重して解決に向けた努力を急ぐように」と促した。