バチカンから見た世界(63) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

教皇のWCC本部訪問後の22、23の両日には、同本部で韓国、北朝鮮両国のキリスト教指導者による「朝鮮半島の平和・再統一と開発協力のためのエキュメニカル・フォーラム」(EFK)の歴史的な会議が開かれた。この会議は、WCC、アジアキリスト教協議会(CCA)、NCCK、北朝鮮の朝鮮キリスト教徒連盟(KCF)の協力によってなされたもの。2日間にわたって議論を重ね、『平和を探し、追い求めよ』と題する宣言文を採択した。

宣言文では、「板門店での南北首脳会談と、その後のシンガポールでの米朝首脳会談において約束された事項の実現に向けて政治的環境を整えていくため、全ての関係諸国に対し、朝鮮半島での対立と軍事活動を停止するよう訴える」とした。「板門店宣言」の精神に沿い、開発協力の障害を取り除くため、「北朝鮮に対する経済制裁が即刻に解除されるように」と呼び掛けている。

また宣言文の中で、この地に集った韓国と北朝鮮両国のキリスト教指導者たちは、「『板門店宣言』を、平和、繁栄、分断された朝鮮半島の人々の再統一に向けた、南北間の変革の現れとして再確認する」との考えであることを表明。その上で、全てのキリスト教教会やエキュメニカル団体に対し、「朝鮮半島の人々の平和的共存、再統一、開発、相互繁栄の実現を支持し、エキュメニカルな連帯と支援の強化を促進するために、将来行われるさまざまな取り組み、EFKの会合に参加するように」と要請している。

WCC中央委員会は、両国のキリスト教指導者の先導的な取り組みを強く支持しており、EFKの会議に先立つ20日、「朝鮮半島における希望に満ちた変革を歓迎する」との声明文を発表。朝鮮半島における「核兵器による軍事的対立の緩和と平和的共存、そして民族の長期間にわたる苦しく悲劇的な分断の解決に向けた、希望に満ちた最近のプロセス」に対して歓迎の意を表している。