トランプ政権の不法移民大量送還に抗議するユニテリアン・ユニバーサリスト(海外通信・バチカン支局)

米国トランプ政権の目玉政策である、不法移民の大量送還。宗教施設内での不法移民の逮捕を禁じた法令を廃棄し、移民・関税執行局(ICE)の職員に強大な権限を与え、施行している。ICE職員は警官ではないが、銃の携帯を許されている。だが、その政策とICE職員による残酷な施行に、同国内の諸宗教者が結束して抗議運動を展開している。

キリスト教の諸教会では、信徒たちの多くが不法移民であり、ICE職員による逮捕を恐れて礼拝に参加しなくなり、信徒数が激減した教会も多い。特に、ミネソタ州のミネアポリスで1月7日、抗議運動に参加していた37歳の米国人女性、レネー・グッドさんがICE職員によって射殺されて以来、同市が諸宗教者による抗議運動の中心地となっている。同市で1月22、23の両日、米国全土から約600人のキリスト教諸教会、仏教、ユダヤ教(100人のラビ)、イスラーム、先住民信仰に属する聖職者や指導者が参集し、「ICEを廃止せよ」と叫ぶなどの抗議運動を展開した。

わずか1週間の準備期間で企画された全米レベルでの抗議運動だったが、企画者側の受け入れ能力を懸念し、参加を取りやめた指導者も多かったという。諸宗教の聖職者や指導者を同市のウェストミンスター教会に受け入れたプレスビテリアン(長老派)教会のレベッカ・ヴォエルケル牧師は、参加者たちに向かい「私たちの多くの都市や国内で見受けられるあらゆる痛みと苦に歪(ゆが)んだ多くの人々の面前で、あなたたちの集いは美しい」と「涙を流しながら叫んだ」(1月23日付「レリジョン・ニュース・サービス」)。同通信社は、600人の諸宗教指導者の間には遠地であるマサチューセッツ、カリフォルニア、テネシー、アラスカの各州からの参集者もおり、100人を超える「ユニテリアン・ユニバーサリスト協会」(UUA=本会も加盟する「国際自由宗教連盟(IARF)」の母体)の牧師たちの姿があったと伝えている。ペンシルベニア州から参加した同協会のエリザベス・ハララム・シュバ牧師は、「ICEがわれわれの共同体にも姿を見せることが大いに予想されるので、ここ(ミネアポリス)で学んだことを仲間に伝えたい」と意気込む。ニューヨーク州でユニテリアン教会を指導するジャームス・ガラシンスキー牧師は、「私が、こんな国に住むとは思わなかった」と述懐する。

そして、諸宗教者による最大の抗議運動は、地元からの参加者をも含めて、ミネアポリスのセントポール国際空港のターミナル前で展開された。同空港から、送還される不法移民を乗せた飛行機が離陸するとの情報が流されていたからだ。ミネアポリスの「メソジスト統一教会」のカーレン・ラールソン牧師は、「人々が攻撃され、家族が引き離されている時、私たちは沈黙し、見守っているわけにはいかない」と声を上げた。厳冬の中での抗議運動だったが、ワイオミング州から参加したユニテリアン教会のエリザベス・バリシュ・ブラウン牧師は、「ミネアポリスで起こっていることは非倫理だ。ここは寒いが、本当に危険な氷(氷=ice、ICE=移民・関税執行局の掛け言葉)は気候ではない(トランプ政権の冷酷な政策だ)」(24日付・イタリア「ANSA通信」)と皮肉った。ミネアポリス市警は、抗議運動に参加した約100人の聖職者たちを、「航空妨害」の容疑で逮捕した。

だが24日、ミネアポリス市内で再び、抗議運動に参加していた米国人の看護師、アレックス・プレッティさん(37歳)がICE職員に射殺された。トランプ政権とICE側は、レネー・グッドさんの射殺事件と同様、「武器で攻撃されたことによる正当防衛」としているが、目撃者らが撮影した動画からも「正当防衛」の可能性は薄いと推察される。国連人権高等弁務官のフォルカー・トゥルク氏は、トランプ政権による「移民や難民に対する組織的な権力の乱用と侮辱に驚愕(きょうがく)している。家族を離散させる政策を終止するよう、米国政権に要請する」(24日付「ANSA通信」)と訴えた。トランプ大統領は25日、「ウォール・ストリート・ジャーナル」紙との短い電話インタビューで、「最終的にはミネアポリスからICE職員を撤収させる可能性」を示唆したが、その明確な日時に関しては言及を避けた。
(宮平宏・本紙バチカン支局長)