三郷教会法輪太皷が大阪万博で演奏

7月3日、大阪・関西万博でイベント「響け!魂の鼓動 万博1000人太鼓」が開催された。当日、会場内のEXPOアリーナ「Matsuri」に和太皷奏者ら1000人が集い、「わっしょい」という掛け声と地鳴りのような和太皷の音を響かせた。その一角で、白色の衣装をまとった三郷教会「法輪太皷」の部員12人が、視線を交わして心を合わせ、満面の笑みでばちを大きく振り下ろす――。イベントへの参加は、一人ひとりが感謝を深める機会となった。
きっかけは、昨年末に届いた一通のメールだ。SNSを通して、イベントの主催団体「堺太鼓」から参加を打診された。コロナ禍を経て演奏の場が減少していたため、メンバーで協議し、日頃の成果を大きな舞台で披露したいと出演を決定。小学生から60代までの部員たちは毎週末、教会に集って共通曲「わっしょい」と、単独演奏の「法輪太皷のテーマソング2025」の練習を重ねた。当日は、「楽しく叩(たた)く」ことを意識し合い、家族や仲間への感謝を込めて和太皷を演奏した。
恩返しの気持ちを胸に参加したのはSさん(36)。Sさんは小学生時代、学校に行けない時期があったが、父・Mさん(65)=渉外部長=が部長を務める法輪太皷の練習だけは行き続けられた。父をはじめ部員たちが温かく迎えてくれることがうれしく、その後も和太皷を続けて部のリーダーとなった。演奏だけでなく運営に携わる中で、後進育成の難しさも実感した。相手の気持ちを尊重して話を聞き、触れ合う大切さを学ぶなど多くの気づきを得た。「法輪太皷は自分の大切な〝居場所〟です。その場を部長として長年守り続けてくれた父に感謝しています。万博出演を機に始めた毎月の話し合いを継続し、今後も法輪太皷を盛り上げていきたい」と話した。
また、Mさん(25)は、法輪太皷のOBであり、がんで4月から入院する父親に元気を届けたいと懸命にばちで打ち込んだ。「父が涙を流して演奏の動画を見ていたと聞き、参加して本当によかったと感じました。一緒に練習してくれた仲間や教会の皆さんに感謝の気持ちでいっぱいです」と語った。
万博後、新たに小学生の新入部員を迎えた法輪太皷。メンバーは初心にかえって練習に励み、法輪太皷を次世代につなげるために技術と心を磨き合っている。