福岡教会 街頭募金でミャンマーの人々の安寧を祈る

同教会の青年たちと共にミャンマー、ベトナムの人々も募金活動に加わり、支援の大切さを訴えた

初夏の風が福岡市の繁華街を吹き渡る中、「募金お願いします!」という力強い声が響いた。立正佼成会福岡教会は5月18日の午後、「青年の日」の取り組みとして、青年部員ら120人が、博多、天神、大橋の3カ所に分かれて、世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)日本委員会による「ミャンマー地震緊急支援募金」への協力を呼びかけた。

同教会の青年部員たちは、長年にわたる内戦に加えて大地震の被害を受けたミャンマーの人々の厳しい現状を報道などで知り、何とか力になりたいと街頭募金の実施を決定した。

福岡市博多区にある吉塚御堂で日本とミャンマーの青年同士が交流を深めた

当日の午前中は結団式を実施。実行委員の青年女子部員3人が、募金に先立ち、ミャンマーで制作された釈迦像が安置され、周辺に住むアジア各国から訪れた仏教徒たちの心の依りどころになっている吉塚御堂(福岡市)を訪ねたことを紹介した。交流した一人のミャンマー人から、現地では頻発する停電や深刻な食料不足で人々は毎日を生きることに必死だと聞き、「大変な状況にいる方の心に寄り添って募金に臨みたい」と意気込みを語った。

次いで、1948年の独立以来、民族紛争や軍事政権と民主化勢力の衝突が続くミャンマーで、1500人の孤児を支援している一般社団法人興隆国際児童支援団(KICRA)の瀧野隆代表理事(82)が講演した。

瀧野さんが2007年にミャンマーを初めて訪れた時、街に溢(あふ)れていた戦災孤児の姿が、ある日を境に見えなくなったという。通訳者に聞くと「皆売られた」と一言。子どもが人身売買や臓器売買の対象になる現状にショックを受け、孤児支援を始めたと語った。

当初は、米などの食料支援を中心に行っていたが、孤児の人数に対して物資が間に合わないことも多く、子どもたちの自立力を養うことが大事だと気づいた体験を詳述。孤児の戸籍作成のサポート、孤児院の運営や日本語学校の設立などを通し、日本での就労支援にも力を入れており、「命が尽きるまで彼らを支え続けていきたい」と語った。

ミャンマーの生徒からプレゼントされた絵を嬉しそうに紹介する瀧野さん。絵は宝物だという

また、4年前の軍事クーデターを機に武装闘争が広がる中で起きた今回の大地震による被害は甚大で、軍の規制により国外からの支援の手が届いていないと報告。現地で被災者に食料や医療品を届ける支援を行った体験を伝え、WCRP/RfP日本委を通じて「立正佼成会の皆さんにミャンマーの人々を支援して頂けること、本当に有り難く感謝しております」と結んだ。

講演後の街頭募金では、故郷の力になりたいとミャンマーの留学生も募金活動に加わり、共に協力を呼びかけた。この日、市民から寄せられた浄財は総額52万4380円に上った。

募金に参加した少年部員(10)は「募金してもらえるように、大きくハキハキした声を出すように心がけました」と語った。

実行委員の青年女子部員(26)は「自分の生活が苦しいかもしれない中、日本に住むミャンマーの人も故郷を思って募金してくれました。また、講演で、孤児院にいる女性が自らの命を守るため髪の毛を切らないといけないと知り、同じ女性として心が痛く、おしゃれを楽しめる日本の暮らしは当たり前ではないと感じました。この募金が役に立ってほしいです」と述べた。

なお、同日には福岡市内にある冷泉公園から天神までの清掃活動も実施された。