北海道支教区が政治学習会 未来を“共創”

「35・42%」。令和4年に実施された参議院議員選挙での10歳代の投票率だ。若者の政治離れが指摘されて久しいが、大人は彼らの声に耳を傾けているだろうか――。

若者の視点で見た政治、宗教についての考えを共有して学びを深める場として、北海道支教区は先ごろ、政治学習会の中でパネルディスカッションを実施した。国会議員と共に議論したのは、札幌教会の学生部員Aさん(17)と旭川教会の学生部員Bさん(14)。札幌教会を会場に27拠点をオンラインでつなぐ中、冒頭、進行役から「政治は誰が担うのか。なぜ投票に行かない人が多いのか」という問いが投げられた。

796人の参加者を前に、Bさんは、政治は議員だけが行うものとの考えが投票率の低下につながるのではと話した。一方、世の中を変えるには投票を通して声を上げることが大事で、投票権を持たない世代も「政治は未来をつくるもの」との認識で学び続けることが大事と語った。

これを受け、パネリストの一人である勝部賢志議員は、学校教育で政治を学ぶ機会が少ない影響は、20代の有権者が投票に行かない理由の20%に挙げる「分からない者が投票してはいけない」との答えにも表れていると指摘。海外の教育現場で、教諭が自らの政治的意見を伝えることで学生も考えを発して議論できた例を示し、学校教育の中で政治について話す場を増やすことが大事と述べた。

『若者が希望を持てる社会にするには』というテーマでは、荒井優議員が発言。明治以降の学校教育が世の中の不安定性に伴い経験主義を重視して、子どもたちが未来を切り開くことに懸けてきた話し、多くの社会問題が山積する現在も探究学習に重点が置かれるなど教育の在り方も変化していると伝えた。

これを受けAさんは、青少年が課題解決の力を養うことが大切である一方、「若者が活躍するまでの間、誰が不安定な世の中を支えるのか」と問いかけた。若者が未来に希望を持つには、共に悩む大人の存在が不可欠で、皆で意見を出し合い社会の問題と向き合いたいと話した。

当日の講演で杉野恭一学林学長は、神仏、いのち、自然などを「拝む心」を育むことが教育で最も重要と示し、皆が愛や慈悲に基づく行動を習慣化して「徳」を養い、政治と社会を再構築していくことが大事と述べた。

学習会の最後、杉野学長が参加者と共有したのは、マハトマ・ガンジー師の言葉「BE THE CHANGE YOU WISH TO SEE IN THE WORLD(世界を変えたければ、まず己がその変化となれ)」。若者の言葉に真摯に耳を傾け、多世代で対話、協力、行動する大切さが確認された学習会。多様なルーツを持つ人々が共に生きてきた歴史を持つ北海道の地で、未来を“共創”する一歩が踏み出された。