楽生(らくいき)~楽に生きるを極めるヒント~ プロローグ 文・日本笑いヨガ協会代表 高田佳子

喜怒哀楽のすべてが大切

人間には喜怒哀楽という感情が備わっています。これらは自然からの贈り物であり、私たちにとって大切なものです。ネガティブな感情も含めて喜怒哀楽を味わって生きることは、心の豊かさを育む源になります。一方で、感情に振り回されてしまうと、ストレスが増え、心も体も疲れてしまいます。

苦・楽のどちらか一方に固執すると、自然体で生きることが難しくなります。「いつも明るくポジティブな笑顔でいよう」という心がけは大事ですが、ねばならないと決めて振る舞えば、自分の心に噓(うそ)をついてしまう時もあります。その無理が限界を超えると、怒りが爆発したり、無気力になったりしてしまうのです。

時にはネガティブ感情で苦しくなることもあります。ただし、嘆き続けたり、周りの不条理に怒り続けたりしていると、現実の美しさや幸せを見失い、せっかくのチャンスを逃してしまいます。

私たちの脳は、絶えず感情や思考を生み出し、時にその流れに振り回されます。ですが、自分の脳を「手懐(てなず)ける」ことができれば、感情に支配されず、自分らしく生きられるようになります。脳を手懐けるとは、自分の思い込みや無意識の反応に気づき、それらを上手にコントロールすることです。感情を受け入れながら、必要以上にとらわれない生き方が、楽に生きる秘訣(ひけつ)です。

イラスト・みよし

「ハハハ」と「シクシク」のバランス

人間は「ハハハ」と笑い、「シクシク」と泣く生き物です。

「ハハハ」=8×8=64

「シクシク」=4×9=36

64+36=100

これは、笑顔の時間とネガティブな時間を合わせると人生は100%だということ。もし「ハハハ」の時間が「シクシク」の時間より多いなら、それだけでよい人生だと、日本笑い学会副会長で産婦人科医の昇幹夫先生が教えてくれました。

楽生のすすめ

幸せも苦労も永遠には続きません。自分の思い込みやこだわりが、可能性に満ちた未来を閉ざしてしまうことがあります。この連載では、脳を「手懐ける」ための具体的な方法をお伝えします。

笑トレ、0秒思考のA4メモ、瞑想(めいそう)など、毎日の習慣に取り入れられる簡単な方法をお伝えし、思い込みを外し、自分の内に眠る智慧(ちえ)を引き出します。心も体も元気になり、快適な毎日を送るヒントが見つかるはずです。

楽に楽しく生きる「楽生(らくいき)」が、あなたの生活に役立つことを願っています。

プロフィル

たかだ・よしこ 兵庫県神戸市生まれ。日本笑いヨガ協会代表、一般社団法人笑イノベーション学会理事長。早稲田大学非常勤講師。人が一生笑って生きられる環境づくりがライフワーク。40代で老年学修士号を取得し、2009年にインドで笑いヨガを学ぶ。介護予防・認知症予防・ストレスケアに役立つ「笑トレ」を提唱し、科学的知見をもとに心と体を軽やかにする生き方を発信している。

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