日蓮宗総本山身延山久遠寺で日中韓仏教友好交流会議
「第24回日中韓仏教友好交流会議 日本身延山大会」が10月30日、日蓮宗総本山身延山久遠寺(山梨・身延町)で開催された。同寺での大会開催は今回が初めて。大会テーマは『共栄社会の構築における仏教精神の可能性~日中韓三国の共和(共生)を願って~』。日本、中国、韓国の僧侶や信徒ら約300人が参集し、立正佼成会から日中韓国際仏教交流協議会常任理事の澤田晃成参務、東靖憲京都教会長らが出席した。
当日午前には、大本堂で「世界平和祈願法要」を厳修。三国の代表が祈りを捧げ、平和祈願文を読み上げた。日本の法要では、同協議会理事長の武覚超師(比叡山延暦寺長臈)による「世界平和祈願文」奏上に続き、登壇した参加者全員で「妙法蓮華経 観世音菩薩普門品偈」を読誦(どくじゅ)した。
午後には学術講演会が行われ、三国の代表が大会テーマに沿って発表した。日本からは、望月海慧身延山大学学長が『共生共栄社会を構築する思想的根拠としての久遠成仏と一念三千』をテーマに講演した。
望月学長は、『法華経』と日蓮聖人の遺文を基に、「共生共栄」の思想が成立した背景を解説した。その上で、身延山久遠寺の岩間日勇第九十世法主が、共生共栄社会の実現について、日蓮聖人の御文『上野殿御返事』にある「人は善根をなせば必ずさかう」を引用し、「必ず栄えるにはまず善根を積むこと」と説いたことを紹介。社会の一人ひとりが、「日常のあらゆる行為に対してそれが善なるものであるのかを正しい智慧(ちえ)により判断することが求められている」と語った。
続いて、明生中国佛教協会副会長、又仁韓国佛教宗団協議会副会長が講演を行った。
この後、大会を総括した「共同宣言文」が発表された。宣言文では、混沌(こんとん)とした世界情勢の中、「仏教の有する真理を求める智慧や、他を思い遣(や)る慈悲を基とした仏教徒の果たす役割は増す一方である」と明示。排他的思想から心の安寧は生まれることはなく、互いに認め合い、共に助け合い、共に生き、共に栄えるという慈悲心こそが「世界平和の源である」とし、「現代社会に則した形で人心に寄り添い、世界平和と人々の安寧の為(ため)により一層努めていく」と誓った。
最後に、三国の代表が宣言文に署名した。