大聖堂でイスラエル出身のアラブ人オルガニストが演奏会 「『平和を願う』パイプオルガンの響き」(動画あり)

大聖堂のパイプオルガンを演奏するヤクーブ氏

パイプオルガンによるクラシック音楽の調べが響く――。演奏者は、イスラエル国籍でアラブ人のヤクーブ・ガザウィ氏。エルサレム・聖地特別管区(フランシスコ会)の首席オルガニストだ。8月31日、東京・杉並区の立正佼成会大聖堂4階ホールを会場に、「『平和を願う』パイプオルガンの響き」(イスラエルとパレスチナの平和を願う会主催)が行われ、会員、市民ら約700人が集った。

当日の様子(クリックして動画再生)

演奏会は、2017年から聖地(エルサレム)の子どもの教育支援などのために開催されてきた。昨年10月からは、紛争に苦しむパレスチナ自治区ガザやイスラエルの人々の支援なども目的に加わり、5月から九州、近畿、関東地方にあるカトリックやプロテスタントの教会で実施。今回、キリスト教以外の宗教施設で初めて開催された。

当日は、冒頭、後援団体である認定NPO法人聖地のこどもを支える会の井上弘子理事長があいさつに立った。井上理事長は、今回の演奏会が、世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)日本委員会参与である、カトリック長崎大司教区の髙見三明名誉大司教による紹介で実現したことを説明。「カトリック信徒である私たちが、立正佼成会の大聖堂で演奏会ができたのは、会員の皆さまが温かく迎えてくださったからです。感謝を申し上げます」と語った。

この後、ヤクーブ氏が、「プレリュード」(ポール・フェイ作曲)「葬送行進曲」(M・B・フォスター作曲)など6曲を披露。参加者は、パイプオルガンによる重厚で厳かな演奏に聴き入った。

最後に、ヤクーブ氏が登壇し、演奏会の感謝を表した後、イスラエルとガザで起きている人道危機に言及。自身もスタッフを務める聖地のこどもを支える会が、エルサレムの教会を通して紛争に苦しむ人々のサポートを続けていると語り、より多くの被害者を救済できるよう、現地での支援活動に対する協力を呼びかけた。

親子3人で参加したSさん(88)、Mさん(64)、Kさん(53)=ともに足立教会=は、ヤクーブ氏らの話を聞くことで紛争地に生きる人々を身近に感じたと語り、「平和のために祈り、行動し続けていきたい」と口をそろえた。