教皇とバイデン米大統領が中東情勢を巡り電話で会談(海外通信・バチカン支局)
バチカン報道官のマテオ・ブルーニ氏は10月23日、ローマ教皇フランシスコが22日午後にバイデン米大統領と20分間の電話会談を行ったと明かした。内容は、「世界の紛争状況と平和に向けた道程を模索する必要性」とだけ公表した。一方、ホワイトハウスが同日に発表した「リードアウト」(声明文)によると、同大統領と教皇は、「イスラエルとガザ(パレスチナ自治区)における最新の展開」について話し合ったとのこと。
さらに、同大統領が「ハマスのイスラエル市民に対する野蛮な攻撃への非難」を教皇に伝え、「最近のイスラエル訪問と、ガザへの食料と医薬品の供給、現地での人道危機の軽減を目指した努力」について語ったことも明らかにした。
最後には、「両指導者が中東での緊張激化を抑え、恒常的な和平のために努力を続ける必要性」について話し合ったと記された。
バチカンのニューヨーク国連常駐代表を務めるガブリエル・カッチャ大司教は24日、国連安全保障理事会内で開催された、ガザ地区の情勢を協議する閣僚級会議でスピーチし、バチカンの見解を明かした。
この中で、カッチャ大司教は、「聖座(バチカン)は、ハマスと他の武装組織が実行したイスラエルへのテロ攻撃を、絶対的に、明確に糾弾」する一方、「テロ実行者の犯罪責任を、(パレスチナ)一国家や一民族全体に負わしてはならない」と指摘。「聖座は、数千人の死者、数十万人に及ぶ避難民を出しているガザでの人道災害に深い憂慮を抱いている」と語った。
そして、激化する武力闘争の最中にあっても、バチカンは、イスラエルとパレスチナの両国政府(バチカンはパレスチナを国家として承認)に対し、「聖座の支持する『2国家原則』に沿い、和平に向けた努力を再確認するように」と訴えた。