韓国・ソウルで「地球市民会議のための宗教間連合会議」 杉野学林学長が出席
『危機的時代における社会参画スピリチュアリティ』をテーマに、「地球市民会議のための宗教間連合会議」が8月21日から23日まで、韓国のソウル市、イクサン市で開催された。立正佼成会から杉野恭一学林学長(元世界宗教者平和会議=WCRP/RfP=国際委員会副事務総長)、アジア宗教者平和会議(ACRP)から篠原祥哲事務総長が出席した。
同会議は、人種、国籍、宗教、文化などの違いを超えて行動する「地球市民」という考え方を基に、世界規模の問題の解決、平和で調和の取れた世界の構築に向け、諸宗教間の対話を促進するとともに、宗教NGOや信仰に基づく組織(FBO)のグローバルな連帯を目指すもの。圓仏教が主催し、韓国政府文化体育観光部、イクサン市などが後援した。韓国内外の政府、国連機関、学術界、宗教界などから200人以上の識者が招待された。
杉野学長は21日午後、圓仏教少太山記念館で、オープニングセッションに先立って行われた諸宗教対話のプログラム「平和に向けて行動するスピリチュアリティ:グローバル倫理、人権、持続可能な地球」でパネリストを務めた。この中で、『平和、人権、持続可能な地球への徳指向のアプローチ』と題してスピーチを行い、世界の多くの宗教が、信仰の実践として、日常生活での「徳のある行動」を推奨していると説明。キリスト教、イスラーム、ヒンドゥー教、ユダヤ教による徳の実践と社会との関係を例示した上で、各宗教が、信仰の実践による個人の成長を促し、社会の繁栄と幸福につなげるという視点を持ち合わせていると語った。また、宗教者は、信仰、文化、イデオロギーに異なる背景を持ちながらも、平和を希求する価値観は共通していると指摘。諸宗教対話・協力は、宗教間の垣根を越える架け橋となり、調和の取れた社会の基盤を築くと述べた。
続いて、『超危機的時代の宗教:共存と繁栄を通じて世界平和の道を見つける』をテーマに、平和についての対話プログラムが設けられた。この中で篠原事務総長が登壇し、『平和のための諸宗教の使命と2030年に向けたアジェンダ』と題して発表した。
この後、オープニングセッションが行われ、『地球市民の今:コスモポリタニズムの拡大と調和のとれた世界における共存の構築』と題して潘基文(パン・ギムン)元国連事務総長が基調講演を行った。
3日にわたる会議では、「地球市民」の考え方をいかにして広め、平和の実現に向けた具体的な行動に移していくかなどを議論。『地球市民権教育、ユネスコ、韓国』『不安定な平和:地球市民権と平和への道』『調和の取れた社会のための教育の変革:宗教、文化、多様性』『平和の実現:断片化された世界における宗教の役割』といったテーマで、識者による特別講義やパネルディスカッション、全体討議などが行われた。