「イタリア大統領らがイランでの抗議運動者に対する死刑執行を非難」など海外の宗教ニュース(海外通信・バチカン支局)
イタリア大統領らがイランでの抗議運動者に対する死刑執行を非難
イタリアのセルジョ・マッタレッラ大統領は1月11日、イランの駐イタリア新任大使であるモハマド・レツァ・サブーリ氏から信任状を提出された時、イタリアが尊重する関係国とその制度には「人権侵害という超えられない限界がある」と発言した。さらに、イタリア政府と大統領自身が「イランで続く政府への抗議運動に対する野蛮な抑圧、多くの抗議運動者に対する死刑の執行、不当な拘束への弾劾を表明」し、「民衆の蜂起に対する暴力を即刻、停止するように」とのメッセージを、イラン政府に向けて発信した。イタリア大統領府は同日、同大統領の発言を公式声明文として発表した。
これに先立つ9日、ローマ教皇フランシスコも、各国の駐バチカン大使の前で、イランでの国家による死刑執行を非難し、極刑が抗議デモの抑止力とはならず、復讐(ふくしゅう)への渇望を助長するだけだと述べた。
こうした厳しい非難に対してサブーリ大使は翌12日、イタリアメディアの記者会見で、「イランは人間の尊厳を尊重するが、他国が自らの文化を強要することを受け入れない」と発言。「自由がイスラームの価値観の一つである」と主張し、「イランの刑法が死刑を認めており、最も重要な犯罪に対して執行される。死刑に処された者たちは、正当な裁判と、あらゆる保障を受けた」と反論した。また、「イランでは、平和的なデモが認められているが、暴力による秩序の混乱は受け入れられない」とも述べた。
国連人権高等弁務官のヴォルカー・ターク氏はこのほど、イランで続く反政府デモに言及し、「自分の意見を表明するという人間の基本的権利を行使する人たちに対して、刑法による措置(死刑)を行うことは、国家による殺人行為である」と糾弾した。一方、イランのアブドルサマド・コラマバディ国家副検事長は、「義務付けられているヒジャブ(ムスリム女性がかぶるスカーフ)を着用しない女性は、警察に厳しく取り締まられ、逮捕後に送検される」と発言している。
ノルウェーを拠点とするNGO「Iran Human Rights」は、「4カ月間続くイランでの抗議運動中に逮捕された109人が死刑判決を受け、すでに執行された人もいる」と公表している。