佼成カウンセリング研究所 設立50周年記念「有資格者全国大会」をオンラインで開催 光祥次代会長が法輪閣であいさつ
佼成カウンセリング研究所の設立50周年を記念し、10月30日に「有資格者全国大会」が東京・杉並区の法輪閣大ホールを会場にオンラインで開催された。テーマは『紡ぎあい、未来へ』。当日は、同研究所の養成講座を修了した有資格者30人が新型コロナウイルス感染症対策を施した会場に参集。佼成カウンセラーら約330人がリモートで参加した。
佼成カウンセリング研究所は1972年、仏教精神を基盤としたカウンセラーを養成するとともに、本会の社会貢献活動の実践拠点となることを目的に設立された。同時期には一般社団法人全日本カウンセリング協議会に加盟。今日的課題に対応しながら社会に奉仕できる人材の育成に取り組むため、翌年8月から「カウンセラー養成講座」を開講した。以来、同講座や公開講座による教育、電話や面接による相談活動、より良いカウンセリングを目指す研究などを行ってきた。
「カウンセラー養成講座」では、これまでにカウンセラー2級と3級を合わせて1800人以上の有資格者を輩出。現在は23期生、24期生171人が資格取得を目指して受講している。
卒業生は所属教会での相談活動をはじめ、スクールカウンセラー、子育て支援員、保護司、民生委員、教育委員を務めるなど、広く地域社会で活躍している。特に、「佼成カウンセリング相談室」のうち、「佼成心の電話相談室」では、年間で約7000件の相談を受け、日々、さまざまな苦悩や不安を抱える地域の人々に寄り添っている。
同研究所では他にも、2007年の新潟県中越沖地震や11年の東日本大震災の発災時には傾聴活動を軸に被災地支援を展開。20年から新型コロナウイルス感染症が拡大する中、対策を講じた上で電話や面接による相談活動を行うなど、「心の伴走者」として人々の求めに応える研究所であることを願い、さまざまな事業を推進している。
10月30日、「有資格者全国大会」当日、午前の部であいさつに立った庭野光祥次代会長は、本会のカウンセリングの特長について言及。長年、教会や地域で人々の苦しみに寄り添ってきた会員がカウンセラーとなり、信仰を基に必ず仏性があると信じて相談者の縁になることで、自身の信仰を深める様子に独特の力を感じると説明した。
また、悩む相手に解決法を伝えるのではなく、自分とは違う人生を歩んできた相手の言葉の奥にある心に触れようと問いかける中に、仏の働きがあると明示。相手と惜しみなくつながることで自他の仏性を感じながら、「誰かが一歩踏み出そうと思えるような縁になりましょう」と語りかけた。
続いて、村山正治九州大学名誉教授が、『人生とは自分自身になるプロセスを歩むこと~私の心理臨床体験から学んだこと~』と題して基調講演。村山氏は、学生時代やカウンセラーとして歩み出した頃に経験した失敗や挫折を、自分自身を知る良い機会と捉えたことで長所が見つかり、自己肯定感を得て自らの苦悩が気にならなくなったと詳述した。
自分の長所を伸ばす生き方こそ「自分自身になる」ことであるとし、誰もが自然に備わる自己実現の力を引き出して自信につなげる傾聴を通じて、一人ひとりが自らを大切にし、他者との違いを認めつつ相互理解を深めながら共存していけるよう社会を支える役割がカウンセラーにはあると述べ、有資格者の今後の活躍に期待した。
この後、同研究所の吉田容子所長があいさつした。
午後には、参加者同士でグループワークを行い、基調講演の感想や今後の展望について語り合った。その後は五つの分科会に分かれ、地元でカウンセリングを生かした社会貢献活動を行う有資格者の講演や、絵本の読み聞かせを通して感想を語り合うワークショップなどに参加しながら、研さんを深め、情報交換を行った。