庭野会長 「朔日参り(布薩の日)」式典で法話 煩悩をととのえ、感謝の心で
7月1日、立正佼成会の「朔日(ついたち)参り(布薩=ふさつ=の日)」式典が東京・杉並区の大聖堂で行われ、庭野日鑛会長が法話を述べた。式典の様子は、インターネットを通じて全国の会員にライブ配信された。
式典では、庭野光祥次代会長を導師に読経供養が行われた後、大田教会の男性会員(64)が体験説法に立った。
男性会員は、2012年に信仰熱心な母が他界し、その後に妻が突然の心肺停止で救急搬送され、一命を取り留めたものの昏睡(こんすい)状態に陥った当時を述懐。姉の勧めで教会道場を訪れた時、サンガ(教えの仲間)につらい心境を聴いてもらったことを通して、修行精進の決意を固めたと発表した。
その後、布教活動に参加して信仰を深める中、自身が起こした交通事故の裁判中に大病を患っていることが発覚。自らの心を教えに照らして省み、事故は相手の仏性を礼拝(らいはい)すること、病は家族のために健康を保つことの大切さを伝える現象と受けとめられた体験を語った。
現在、病床の妻への感謝を胸に、サンガや家族と温かな触れ合いを重ねており、今後も人に喜ばれる生き方をしたいと誓願した。
続いて法話に立った庭野会長は、ある経典に書かれた「吾(われ)によって汝(なんじ)を礼(らい)す。汝によって吾を礼す」という言葉を紹介。仏性礼拝行に徹した常不軽菩薩(じょうふきょうぼさつ)のように、合掌礼拝を通して互いに敬意を表す大切さを説いた。
また、「おのれこそ おのれのよるべ おのれをおきて 誰によるべぞ よく調(ととの)えしおのれにこそ まこと得がたき よるべをぞ獲(え)ん」という法句経の一節を引用し、「仏教では、煩悩を断つのではなく、煩悩をととのえることで自らをととのえ、自分をよるべとできることを説いている」と示し、こうしたさまざまな教えは、釈尊自身が実践して体得したことであると話した。
その上で、自分をととのえるとは、宇宙と一つになることでもあるとの見方を伝え、「私たちは、太陽、お月さま、そして地球の自然、そうしたあらゆるもののおかげさまで生かされている」と説き、不平不満を言わず、感謝の心で日常を過ごすことが大事と述べた。