ミャンマー政変から1年 WCRP日本委、ミャンマー委が人道支援
ミャンマーでは国軍がクーデターによって政権を掌握してから1年が経過した。国軍による非常事態宣言は延長され、市民への弾圧が続いている。人々の抵抗は続いており、政情不安による人道危機は深刻だ。世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)日本委員会は昨年6月から人道支援募金を実施。立正佼成会も協力し、会員から4500万円を超える浄財が寄せられた。これらの支援金を基に現在、WCRP/RfPミャンマー委員会で支援活動が進められている。(写真提供=WCRP/RfP日本委)
本会会員からも4500万円超える献金
国軍によるクーデター直後、大勢の市民が街頭で抗議し、民主化を訴えた。国軍は治安部隊を投入し、市民を弾圧。これに対し、多くの市民が不服従運動(CDM)を展開し、昨年4月には民主派勢力による国民統一政府(NUG)が発足した。
その後も国軍の弾圧は続き、昨年9月、NUGが「防衛のための戦争」を宣言。市民によって結成された国民防衛隊(PDF)は少数民族の武装勢力と連携し、今、各地で国軍との戦闘が起きている。国軍の報復も激しさを増し、多くの市民が避難生活を余儀なくされている状況だ。
同国の人権団体によると2月14日現在、市民の犠牲者は1549人。国連は、クーデター後に40万人以上が避難民となり、1440万人に食料や医療の支援が必要と発表している。
WCRP/RfPミャンマー委員会にはクーデター直後から、支援を求める多くの声が寄せられた。政情不安が続き、さらに亡命を余儀なくされた諸宗教者がいる中で、オンラインで会合を重ね、諸宗教者のネットワークを生かして各地の状況を調査。「人道支援とヘルスケアサポート」プロジェクトを策定した。
一方、WCRP/RfP日本委は、昨年6月から人道支援募金を実施。本会はこれに賛同し、全国の会員から約4500万円が寄せられた。同日本委は、WCRP/RfP国際委員会、アジア宗教者平和会議(ACRP)とミャンマーへの支援について協議し、各教団から寄せられた支援金をミャンマー委員会のプロジェクトに充てることを決定した。
プロジェクトは昨年9月にスタート。人道支援に関しては、ラカイン州シットウェ、チャウピューや、シャン州ラシオ、カチン州ミッチーナなど8地域で、極度の貧困にある1000世帯に生活物資や衛生用品の配布計画を策定した。これまでに、米や野菜などの食料、マスクや消毒用アルコールといった新型コロナウイルスの感染予防備品、衛生用品などを現地で購入し、252世帯に届けた。
ヘルスケアサポートについては、自身や家族に対する暴力行為で傷ついた心のケアを実施。イスラームやキリスト教などの宗教施設でミャンマー委員会のメンバーが傾聴に努めている。オンラインで心理社会的支援トレーニングも行われ、89人が受講した。
WCRP/RfP日本委の篠原祥哲事務局長は、「情勢やコロナ禍の影響を考えると、現地に足を運んで支援に当たるのは難しい状況です。ミャンマー委員会と連携しながら現地の状況に対応し、諸宗教のネットワークを生かして、できる限りの支援をしていきたい」と話した。
なお、同日本委員会のミャンマーへの支援について、今後は同委の「災害対応タスクフォース」が中心となって検討していく。