カナダ先住民同化政策 負の歴史と向き合うカトリック教会(海外通信・バチカン支局)
カナダで1831年から1996年まで、15万を超える先住民の子供たちを強制的に家族から引き離し、寄宿学校で西洋社会に同化させる政策が行われてきたことに対し、同国カトリック教会トロント大司教区はこのほど声明文を発表し、過去の行為を強く反省し、自らを糾弾した。
同政府によって開校された当時、寄宿学校は130校に上る。運営は約4分の3がカトリック教会に、残りがプレスビテリアン(長老派)教会、聖公会、カナダ統一教会(プロテスタント)に委託された。数千人の子供たちが病気や虐待によって死亡したとみられている。
同政府は2008年、先住民に対して、植民地主義的で残虐な同化政策を行ったことを公式に謝罪。プレスビテリアン教会、聖公会、カナダ統一教会も謝罪した。
しかし、最近の世論調査によると、同化政策の歴史と問題について深く理解している国民は1割にすぎない。こうした中、今年5月には、同国西部ブリティッシュコロンビア州カムループスの寄宿学校跡で、記録のない215人の子供の遺骨が発見され、国民に大きなショックを与えた。さらに6月24日、中西部サスカチュワン州で、1899年から1997年まで開校されていたマリバル寄宿学校跡地で地中探査機による調査が行われ、751基が発見された。同寄宿学校は、カトリック教会と地元当局に運営が委託されていた。
また、1889年から1975年まで政府とカトリック教会によって運営されていたペンラカット島(旧クーパー島)の寄宿舎学校跡地からは、子供160人の墓標のない墓が発見された(7月12日付「エドモントン・シティーニュース」電子版)。