ミャンマーの仏教組織 抗議デモの市民を支持(海外通信・バチカン支局)

クーデターによって全権を掌握した国軍への抗議デモが続くミャンマーで、多くの諸宗教者が民主化を求める市民を擁護する立場を表明している。中には、自らもデモに参加し、負傷者の手当てや悲嘆に暮れる人々の慰めに当たり、じかに支援する人も現れ始めた。

同国では3月20日現在、治安部隊の発砲などによる市民の犠牲者は235人に上った。エスカレートする弾圧に対し、諸宗教者の行動が注目されているのだ。同国の仏教指導者や信徒たちも例外ではなく、アジアのカトリック国際通信社「UCAニュース」は3月18日、2月1日のクーデター発生以来、僧侶が抗議デモに参加していると報道した。ただし、その数は、僧侶が中心的な役割を担った2007年のサフラン革命当時に比べると少ないとのこと。その理由を、「一部の僧侶は軍部を支持しており、それ以外の僧が抗議運動を支援しているからだ」と伝えた。

一方、この報道がなされる以前の3月14日には、同国第二の都市であるマンダレーで、武装した治安部隊が寺院や僧院に侵入し、武力で僧侶を弾圧した。これを受け、同地の僧侶たちがつくる仏教組織と抗議運動に参加する僧侶たちが、僧院やパゴダ(仏塔)など宗教施設への侵入に強く抗議する声明文を公表。「国軍に対する僧侶たちの抗議運動を全国で行うこと」も辞さないと明らかにした。

同国の仏教組織「サンガ・マハ・ナヤカ委員会」(通称マハナ)のメンバー47人が同18日に声明文を発表。「抗議デモに対する弾圧がエスカレートするならば、国中の僧侶が、あらゆる活動を停止する用意がある」と表明し、国軍に対する「不服従運動」を宣言した。ローマ教皇庁外国宣教事業部の国際通信社「フィデス」が同日に報じた。声明文では、「(国軍による)暴力の停止と、ミャンマーの平和と社会の復元」を訴え、「国民に行動と経済の自由を返すように」と要請している。
(宮平宏・本紙バチカン支局長)