仏教思想研究の一環として、中央学術研究所が『大乗仏典思想叢書』第3号を発刊 漢訳『法華経』の原典研究に貢献
立正佼成会の付置研究機関である中央学術研究所はこのほど、漢訳『妙法蓮華経』の原典(底本)研究に資する『Philosophica Mahāyāna Buddhica Monograph Series(大乗仏典思想叢書=そうしょ)』第3号を発刊した。同研究所学術研究室の西康友主幹が編纂(へんさん)した。
同研究所は、法華経を中心とした大乗仏典の内容を解き明かし、仏教思想研究の発展に寄与することを目的に、初期仏典、ジャイナ教の聖典および文学、初期大乗仏典の語彙(ごい)・詩脚索引や写本カタログなど全34点を発行してきた。これは、アジア圏の諸思想や宗教の聖典に対する文献学的研究の基盤整備のためでもある。
今回の発刊はその一環で、新たな叢書は、世界初の梵文法華経校訂本『ケルン・南條本』(ローマ字版)と、その中に含まれる『梵文法華経中央アジア伝本カシュガル本』(同)の正順・逆順詩脚索引である。伝承や出土地域、書写年代によって異なる梵文法華経写本の語彙・語形・語法などを文献学・言語学手法で分析し、『ケルン・南條本』脚注のカシュガル本を精査できる資料となる。法華思想・成立研究に対して信頼度の高い資料となることが期待される。
同研究所は、同叢書が広く活用されることを願い、同研究所ウェブサイトで全ページ(PDF)を公開。国立国会図書館など一部の公共図書館にも提供している。PDF版は以下のURLからダウンロードが可能。