WCRP/RfP日本委 人身取引の被害に関するシンポジウム オンラインで開催
世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)日本委員会人身取引防止タスクフォースによるシンポジウム『知ることから始まる 人身取引の被害――アクションにつながる第一歩として――』が11月24日、ウェブ会議システムを使って開催された。国内外のWCRP/RfP関係者ら約100人が参加した。
同シンポジウムは、WCRP/RfP創設50周年を記念して開催された。昨年度まで「難民問題タスクフォース」が活動してきたが、シリア難民留学生受け入れ事業が軌道に乗り、難民受け入れを同委事務局が担うこととなったため、今年度から「人身取引防止タスクフォース」がその後を受けて、新たな課題に取り組むことになった。人身取引は、性的搾取、強制労働、臓器売買、子供の兵士としての利用、犯罪強要などさまざまなケースがあり、その犠牲者は世界で4030万人に上るといわれる。今回は主に性的搾取に焦点が当てられた。
和田惠久巳・同委活動委員(立正佼成会理事・国際宗教協力専任部長)が司会を務め、宍野史生・神道扶桑教管長(同委特別会員)の開会あいさつに続き、『人身取引とは? 当事者の声を聴く――ネパールの人身売買サバイバーの当事者団体から学ぶ』と題して、上智大学総合グローバル学部の田中雅子教授が基調講演を行った。
田中氏は、人身取引に関する世界の深刻な状況を説明し、具体的な事例として、ネパールの人身売買の被害に遭ったサバイバーの当事者団体「シャクティ・サムハ」を紹介。被害者保護と尊厳の回復、識字や政策提言などの活動の必要性を強調した。
この後、『今、私にできることとは』をテーマにパネルディスカッションが行われた。インドネシアのオーガスティナ・エルガ・ジョアン・サラプン師=諸宗教間対話インスティトゥート所長、アジア宗教者平和会議(ACRP)執行委員、弘田しずえ師(ベリス・メルセス宣教修道女会)、大西英玄師(北法相宗音羽山清水寺執事補、同委特別会員)がパネリストを、根本信博・ACRP事務総長(本会主席)がコーディネーターを務めた。サラプン師はインドネシアの移住労働者の人身取引について、弘田師はカトリックの国際女子修道会総長連盟などによる世界的な「タリタ・クム」の取り組みを、大西師は「いのちの尊厳を伝え続ける」など宗教者の行動案について、それぞれ語った。
フロア(ネット上)を交えたディスカッションが行われた後、橋本伸作・大本東京宣教センター長(同委活動委員)が閉会のあいさつを述べた。