対話と共通善の追求を通して国家の一致を――米国カトリック教会(海外通信・バチカン支局)

米大統領選挙で11月7日午前、民主党のジョー・バイデン氏(前副大統領)の当選が確実となった。当確の報を受けたバイデン氏は、勝利宣言のスピーチの中で、政治、人種や経済格差などの分断が深まり、対立する米国社会の現状を踏まえ、「分断ではなく結束を」と訴えた。

米国のカトリック司教会議議長を務めるホセ・オラシオ・ゴメス大司教(ロサンゼルス大司教区)は翌8日、ジョン・F・ケネディ元大統領以来、60年ぶりにカトリック信徒であるバイデン氏が大統領選に勝利したことを受けて声明を公表。バイデン氏が第46代大統領の選出に十分な得票数を得たことに祝意を表すとともに、カトリック信徒として二人目の大統領として、ケネディ大統領の後を継ぐよう期待を寄せた。また、「史上初の女性副大統領となるカリフォルニア州上院議員のカマラ・ハリス氏に対しても祝辞を送る」との意向を明かした。

さらに同大司教は、政治指導者たちが一致の精神に沿い、対話と共通善(公共の利益)の追求に向けた態度を明確にする時が来ていると強調。「米国史の中でカトリック信徒たちには、平和の構築者となり、友愛と相互信頼を醸成し、わが国に真の愛国主義の精神が広がっていくように祈る義務がある」と呼び掛けている。

東方正教会コンスタンティノープル・エキュメニカル総主教のバルトロメオ一世は、同総主教府に属する各国の正教会やギリシャ正教の米国大主教区を代表して公開書簡を発表した。東方正教会の「オーソドックス・タイムズ」紙(10日付電子版)によると、同師は、「正教徒のみならず、約3億人の米国市民や全自由世界の人々に対し、貴殿(バイデン氏)が、永遠なる価値と文明化された人類の理想を実現するため、より良き未来に向けた夢を提供してくださると信じている」と表明。同総主教府が長年にわたり環境保全と気候変動の防止に努力してきた経緯を踏まえ、バイデン氏の「米国がパリ協定に復帰する」という発言に期待を寄せている。

一方、バイデン氏の政権移行チームは12日、同氏がローマ教皇フランシスコと電話会談したことを公表した。教皇がバイデン氏に大統領当選の祝辞を伝えたのに対し、同氏は、平和、和解の促進、そして人類全体の絆の強化に取り組む教皇のリーダーシップに敬意を表明。さらにバイデン氏は、「社会で疎外されている人々、貧しい人々、気候変動による危機、移民や難民の受け入れと同化問題に対し、あらゆる人間の尊厳性と平等性を主張する共通の信仰(カトリック)に沿って、教皇と協力していきたい」との意向を表明したとのことだ。

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