山形、仙台両教会がコロナ禍で社会に貢献 「今、自分にできることを」 サンガが結束
新型コロナウイルスの感染が拡大し、マスク不足が続いた今春から立正佼成会の山形、仙台両教会では、マスクを入手するすべがなく困っている人や社会的に弱い立場にある人に、手製や使い捨てのマスクを届ける取り組みが行われた。
その数は数千枚を超え、多くの人に活用されている。どちらの取り組みも、一人の会員の「今、誰かのために自分ができることを」という願いから始まった。
山形県と市に寄贈、地域の役に
山形教会は7月3日に県に対して、同13日には山形市に各1000枚のマスクを贈呈した。計2000枚のうち、1700枚は会員の手作り。新型コロナウイルスの感染拡大が懸念され出した3月、マスクを作って周囲の人に手渡していた女性会員(80)の活動が発端だ。
裁縫が得意で20年以上前から、浴衣や着物をほどいて、手提げや経巻入れを作っては、サンガ(教えの仲間)や友人に配ってきた。教会では女性会員の手作りの品をほとんどの会員が持っている。
同教会は、山形市内の大通りで行われる「山形花笠まつり」に昨年まで57回連続(今年は、同ウイルスの影響で中止)で出場しており、女性会員は以前から、教会で数年に一度作り変える衣装の浴衣の生地を使って、人の役に立てないかと考えていた。今春、マスク不足が続いたため、生地を活用。作ったマスクはサンガに贈り、「他の人にもあげてね」と多めに手渡していた。
それから、支部の仲間が手伝うようになり、布の裁断や縫製、ひも通しを手分けして行った。「密」にならないように、作業はそれぞれの自宅で進められ、終わると女性会員の元に集められた。
出来上がったマスクが日に日に増え、それを目にした尾名髙靖智教会長から「地域の人のお役に立たせて頂きましょう」と話を持ち掛けられ、県にマスクを寄贈することになった。これを機に、活動が教会全体に浸透。1週間で1000枚の手作りマスクが集まり、山形市にも寄贈した。マスクは、特別支援学校や山形市新型コロナウイルス感染症対策本部で使われるとのことで、教会の取り組みに対し市から感謝状が贈られた。
女性会員は「外出自粛などで家にこもりがちでしたが、皆さんと一つのことができて、私自身、とても楽しく取り組ませて頂きました。作ったマスクが一つでもお役に立てればうれしいことです」と語った。
市庁舎で感謝状を手にした尾名髙教会長は後日、「会長先生から『即是道場(そくぜどうじょう)』と教えて頂き、皆さんが今、自分にできることとして、心を込めてマスク作りに励んでくださいました。今年は教会発足60周年を迎えた年でもあり、この地で、布教精進させて頂いてきた感謝を込めて、地域に寄贈させて頂きました」と話した。