山形、仙台両教会がコロナ禍で社会に貢献 「今、自分にできることを」 サンガが結束

仙台 生活困窮者に思い寄せ

仙台教会では4月下旬、Yさん(55)=支部長=がコロナ禍での路上生活者の身に思いを寄せ、こう案じていた。〈緊急事態宣言が発令されて「ステイホーム」と言われるけれど、住まいがない人たちはマスクを手に入れることができずに、路上で常に新型コロナウイルスの感染への不安を抱いているのではないか〉。Yさんがこうした気持ちになったのは、一昨年に近藤雅則教会長によって行われた「市民社会のためのリーダー養成塾」に参加し、路上生活者を支援するNPO法人「仙台夜まわりグループ」の青木淳子さんから、彼らの状況やグループの活動について話を聞いていたからだ。

早速、同グループに連絡を取ると、路上で生活する人にとって現状は命の危機に直結する事態で、感染を防ぐために、マスクが必要とのことだった。同ウイルスの影響で景気が悪化し、雇い止めや企業倒産によって仕事や住まいを失い、路上で生活する人は増えているとも伝えられた。

Yさんは養成塾で学んだ仲間に路上生活者の現状を伝え、マスクの必要性を訴えた。さらに、教会への参拝が自粛される中で、全支部長によるSNSのグループが開設され、これを活用して、多くの会員に情報が行き届くように努めた。すると、塾生の同期である2人の支部長が賛同し、3人が中心となってマスク製作の協力を呼び掛けた。マスクの流通が途絶えた時期にもかかわらず、1週間ほどで手持ちの使い捨てマスクや手作りマスクがメッセージ付きで寄せられ、1000枚を「仙台夜まわりグループ」に寄贈することができた。

マスクは多くの人に喜ばれ、各団体から感謝状が届けられた

同団体では、路上生活者が自立するための住居支援も行っており、サンガからは自宅で使用していない家電製品や布団、タオルなども提供された。

地域で活動する団体へのマスクを贈る取り組みは広がり、5月だけで児童養護施設やフードバンク、医師会など12団体に、手製、使い捨てのマスク約4000枚と、医療用マスクを贈呈。現在も活動は続けられている。

取り組みに参加した会員からは、「マスク作りを通して、家族や支部の皆さんと温かい思いやりの触れ合いができた」「娘がメッセージを一緒に書いてくれた」と喜びの声が寄せられている。

Yさんは、「勇気を出して提案して、本当によかった。協力してくださったサンガの皆さんには感謝しかありません。自粛生活の中で、教会長さんより教えて頂いた『今、自分にできること』との菩薩行をサンガの皆さんと一緒にできたことを有り難く感じています。地域の方々ともつながり、たくさんの真心を届けられてうれしい」と語った。