浜田開府400年事業 大正天皇ゆかりの歴史的建造物「御便殿」(浜田教会旧道場)が「浜田城資料館」にリニューアル
島根・浜田市は今年、浜田藩が開かれてから400年を迎えた。市内では開府400年を祝す幟(のぼり)が随所に掲げられ、年間を通じてイベントが催されている。市の記念事業の一環として、長年にわたって立正佼成会浜田教会道場として使われ、本会が同市に寄贈した歴史的建造物の「御便殿(ごべんでん)」がこのほど、「浜田城資料館」にリニューアルされた。10月12日、同館で開館式が行われ、席上、本会への感謝状が久保田章市市長から三宅庸介同教会長に贈呈された。
御便殿は1907(明治40)年、大正天皇が皇太子の時に山陰を行啓する際の宿泊施設として、旧浜田藩主の松平家によって建設された。木造平屋建てで、入り母屋造りの屋根を持つ前館と後館、後館に付属する角屋からなる大型の近代和風建築物として知られる。延べ床面積は545.65平方メートル。行啓後は松平家の別荘となり、公会堂や行啓記念館としても活用されてきた。
戦後、御便殿は個人所有となり、建物を所有していた平山カツ元三鷹教会長の父親が本会に寄贈。59年から浜田教会の道場として40年以上にわたって会員の修行精進の場となっていた。
2006年、同教会の新道場建設に伴い、本会は歴史的建造物である御便殿と道場北側の土地を浜田市に寄贈。教会道場に隣接する場所に移された。
浜田教会はこれまで、市民によるイベントが行われる際に、敷地の一角をイベントのスペースに提供するなど、地域に開かれた教会づくりに努めてきた。毎年7月下旬に教会道場で行う「納涼夏祭り」には、地域住民を招き、交流を深めている。「浜田開府400年」の今年は、模擬店などで得た収益を浜田市の福祉事業に寄付。浄財は浜田城資料館で利用される車いすの購入に充てられた。
御便殿内で12日午前に行われた同資料館の開館式では、施設の概要が説明され、久保田市長があいさつに立った。久保田市長は、御便殿を寄贈した本会に謝意を表明。「浜田城資料館に多くの市民、観光客が訪れ、利用して頂くことを願っています」と述べた。
次いで、本会と浜田城資料館建設期成同盟会への感謝状贈呈が行われ、市長から三宅教会長に感謝状が手渡された。この後、久保田市長、三宅教会長、県議会議員ら6人のテープカットによって資料館が開館した。
開館直後に資料館を見学した会員の女性(73)は、「久しぶりに建物に入り、きれいにリニューアルされたことをうれしく思いました。また、以前のまま残っている部分もあり、ここで長い間修行した当時を思い出して、懐かしくなりました。これから多くの方に、御便殿を通して浜田のことを知ってもらいたい」と笑みを浮かべた。
翌13日には石央(せきおう)文化ホールで、同市主催の「浜田開府四百年祭記念式典」が開催され、原章雄中国支教区長と三宅教会長が出席した。
三宅教会長は、「平成から令和に変わったこの年に、浜田教会の発足60周年と浜田開府400年という節目の年が重なり、しかも、御便殿が資料館としてリニューアルしたことに、深く不思議な縁を感じます。御便殿で修行された先輩方の思いをしっかりと受けとめ、歴史あるこの地がさらに住みやすく、よりよい地域になるよう、会員の皆さまと共に菩薩行に励んでいきたいと思います」と語った。