樋口美作師(日本ムスリム協会理事)が逝去 諸宗教対話の促進に尽力 葬儀で庭野会長が弔辞
日本ムスリム協会理事で世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)日本委員会監事の樋口美作師が4月3日、逝去した。82歳だった。6日、東京・渋谷区の東京ジャーミイで執り行われた葬儀には、立正佼成会から庭野日鑛会長が参列し、川端健之理事長が同行した。
樋口師は、1936年、新潟県に生まれた。62年に早稲田大学第一法学部を卒業し、65年にエジプト政府留学生としてカイロ・アズハル大学に留学。71年に日本航空株式会社に入社し、イラク、サウジアラビア路線の開設勤務にあたった。
63年にイスラームに入信し、日本ムスリム協会に入会。同協会で会長、名誉会長など要職を歴任した。WCRP/RfP日本委では、2002年に評議員、07年から同監事に就任。WCRP世界大会をはじめ国際会議やシンポジウムなどで、ムスリム(イスラーム教徒)の平和観、諸宗教間対話・協力の重要性を積極的に発言し続けてきた。また、07年には、自身の信仰の原点、イスラームの信仰観、断食・禁酒といったムスリムの信仰を日本社会で実践する難しさなどをつづった著書『日本人ムスリムとして生きる』(佼成出版社)を出版。イスラームへの正しい理解を促すため、力を注いだ。
6日午前に行われた葬儀には、日本ムスリム協会の会員をはじめ諸宗教者ら約400人が参列した。
日本ムスリム協会の徳増公明会長のあいさつに続き、WCRP/RfP日本委、本会を代表して庭野会長が弔辞に立った。この中で庭野会長は、樋口師が、イスラームの指導者やイスラーム諸国の関係者と、WCRP/RfPとのネットワークの構築に努めるなど諸宗教間対話・協力の促進に尽力したことを紹介。「私どものイスラームとのつながり、活動のすべては、樋口先生のおかげさまであると言っても過言ではありません」と感謝の思いを明かした。
さらに、「寛容と相互の学びを、自身の生き方を通して範を示し、若手ムスリムリーダーの育成、継承にも力を注がれた先生のご遺徳が偲(しの)ばれます」と述べ、「宗教協力による平和社会の実現と未来を担う人材育成に多大な貢献をされた樋口美作先生のご生涯を讃歎(さんだん)、感謝申し上げ、謹んで御霊(みたま)のご冥福をお祈りいたします」と弔意を表した。
この後、参列者による献花、イスラームの儀礼に従いジャナーザ(葬儀)の礼拝が行われた。