「アッシジの精神」から32周年 本会ローマセンター長が集いに参加 (海外通信・バチカン支局)

分科会で仏教的なものの見方、考え方を紹介した水藻ローマセンター長(左から3人目)

ローマ教皇ヨハネ・パウロ二世の呼び掛けによって、1986年にイタリア中部の聖都アッシジで開催された「世界平和祈願の日」の集い――その32周年を記念するイベントが10月26日から28日まで、同地で行われた。カトリックのアッシジ司教区によるもので、イタリア国内外から30人を超える諸宗教者が出席。立正佼成会からは、水藻克年ローマセンター長が参加した。

このイベントは、「ヨハネ・パウロ二世が諸宗教者と共に実現した、平和のための歴史的な祈りの集会から32年が経過し、『世界平和祈願の日』の記憶、誓約、意志、精神を新たにする」ことが目的。世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)、聖エジディオ共同体、フォコラーレ運動が開催に協力した。

イベントでは、さまざまな会合を実施。86年に諸宗教指導者が集った「アッシジの精神」について、「神学的、文化的な側面からの検討」「違いを超えた人類の共通性」「核兵器の廃絶と環境からの挑戦」などの観点から検討がなされ、意見が交わされた。その後、参加者たちは、「諸宗教による平和の祈り」を行った。

26日、「神学的、文化的な側面からの検討」に関する会合でスピーチした水藻センター長は、仏教の「十界互具」と法華経の薬草諭品にある「三草二木の譬(たと)え」を紹介。「自然界の木々は、形も大きさも性質もさまざまに違うものの、雨は等しく降り注ぎます。これと同じように、人間一人ひとりも人種、宗教、国籍、言葉、性格などそれぞれに違いがあり、まずはその違いを認めることが重要です。さらに、その違いにかかわらず、仏の教えは全ての人に平等に説かれており、違いを超えて相互に尊重していくことが大事なのです」と仏教的な見方を示した。その上で、「これは、そのまま本会の諸宗教対話の姿勢にも通じています。多くの宗教が存在することを尊重し、互いに手をとり合い、学び合い、それぞれが世界の調和のために祈り、歩みを進めていくことが、私たち宗教者にとって重要だと考えるのです」と述べた。
(宮平宏・本紙バチカン支局長)