北朝鮮の金委員長がローマ教皇の訪朝を熱烈歓迎 国際社会はバチカンの反応を注視 (海外通信・バチカン支局)

韓国大統領府は10月9日、去る9月に平壌で開かれた南北首脳会談の席上、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が朝鮮半島和平に対するローマ教皇フランシスコの関心の高さに言及し、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長に教皇との会談を促すと、金委員長が「教皇を平壌で熱烈に歓迎する」と答えたことを明らかにした。9日、共同通信やイタリアのANSA通信が伝えた。

文大統領は10月13日から21日まで欧州を訪問する予定で、南北首脳会談における上記の内容は、欧州訪問に関する記者会見で発表されたものだ。渡欧した文大統領は17、18の両日、バチカンで教皇と会談する予定。その際に「朝鮮半島における和平と安定を促進するため、教皇の祝福と支援」を要請するとともに、「金委員長からの平壌訪問へのメッセージ」(ANSA通信)を伝達すると報じられている。

バチカン報道官のグレッグ・バーク氏は9日、文大統領が18日正午にバチカンの使徒宮殿にある教皇専用書斎で教皇に会見すると発表した。バチカン報道官の声明文には、文大統領と教皇の会見前日にあたる17日には、午後6時からバチカンのサンピエトロ大聖堂で、同市国国務長官ピエトロ・パロリン枢機卿の司式による「朝鮮半島和平のためのミサ」が執り行われ、文大統領も参列するとある。

パロリン枢機卿は、ベトナムとの国交正常化、最近の中国とのカトリック司教任命権に関する暫定合意を成功させた、バチカン外交の最高指導者だ。金委員長からの「熱烈に教皇を歓迎する」とのメッセージを受け、同枢機卿の率いるバチカン外交が稼動し始めるとみられている。金委員長からのメッセージに対してバチカンはまだ何も反応を示していないが、教皇はすでに、来年に日本を訪れる意向を表明しており、訪日が実現すれば、その機会に平壌訪問の可能性も出てくる。
(宮平宏・本紙バチカン支局長)