「一食を捧げる運動」啓発――心をつなぐ思いを届ける

「自分にとっての一食運動」を

本会一食平和基金運営委員会委員長 齊藤佳佑

今年の元日、石川県の能登半島地方を震源とする大きな地震が発生しました。厳しい状況にある被災者の皆さまが、一日でも早く元の生活に戻れるよう、一食平和基金では地震発生から間もない時期に、被害を受けた1県8市5町の自治体に支援金を寄付させて頂きました。このように迅速な対応が取れたのも、全国の会員の皆さまが「より一層の支援を」との思いで一食運動に取り組んでくださったおかげさまです。心より感謝申し上げます。

本会が40年以上にわたり取り組んできた一食運動の根底には、「私たちは大いなる一つのいのちに生かされた兄弟姉妹である」という仏教の「一乗」の教えがあります。互いのいのちを尊び、「一緒に幸せになろう」という前向きな気持ちで実践することに意義があり、それは、一食運動を実践する上で大切な「同悲・祈り・布施」の三つの精神とも重なります。

そうした意味でも、一食運動を実践する方法は多様にあると、そのように私は受けとめています。食事を抜いて空腹感を味わい、献金をするというベーシックな実践だけでなく、毎日のコーヒーやお酒といった嗜好品を我慢するなど、「自分にとっての一食運動」を、ぜひ見つけてみてください。

以前、青森教会長のお役を頂いていた際、一食平和基金が支援する「ミンダナオ子ども図書館」(MCL)のメンバーを教会に招き、交流する機会がありました。参加した中高生たちは、自分たちが一生懸命に取り組んできた「ゆめポッケ」が、こんなにも喜ばれているのだということを、実感を持って理解したようでした。功徳を感じる良い機会になりました。

この中高生たちの多くが、その後に実施された「新・学生の船」(2016~19年、本部主催)に参加してくれました。彼らは「自分にとっての一食運動」をつかんだのだと思います。一食運動を通して得た経験が、未来を切り開く力になったのです。

一食平和基金では今年から6年間、『分断を越える“つながり”を築く』をテーマに、未来を担う若者たちへの教育や育成を軸とした支援活動を展開していきます。さらに、この一食平和基金を支えているのが、皆さまが日頃実践してくださっている一食運動です。今回、一食運動の3年間の方向性として『こころがよろこぶ一食』が打ち出されました。「実践者の思い(実践する喜び)」を大事にするとともに、近年のライフスタイルの変化や価値観の多様化を踏まえ、「自分にとっての一食運動」を一人ひとりが見いだせるよう、運動を展開していきます。

一食運動を通して「分断」に苦しむ世界中の人々と思いやりの心でつながり、笑顔あふれる地球をめざして共にさらなる支援を積み重ねていきたいと願っています。