アフリカへ毛布をおくる運動 マラウイでの視察を終えて 同運動推進委員会事務局員で本会習学部の中山スタッフに聞く
マラウイは高地に位置し、特に北部は海抜1500メートルを超えているため、日中は暑く、夜は5~6度まで冷え込むことも多い気候です。その中では、毛布が命を守る大切な役割を果たします。しかし、現地の毛布一枚の値段は約34ドルと、公務員の月給の半分に相当して大変に高価です。このため、自給自足の農業を営み、現金収入が少ない多くの人々は手にすることができません。そうした人々にとって、保温性や耐久性に優れる日本の毛布は、“家族の命を守る宝物”であると言えます。ただ、貧困に直面している人は多く、毛布を必要とする全ての人に行き渡らないのが現状です。
このため、MRCSでは、最も毛布を必要とする立場の弱い人から順番に配付しています。この運動は、困っている人に直接、手を差し伸べることができる活動であり、現地を訪れた私は、改めて一人でも多くの人の力になれればとの思いを強くしました。
また、現地でお会いした人々は大変な生活環境にもかかわらず、周囲の人を思いやり、心豊かに暮らしていました。ブア地区の村で、毛布を受け取った60代の女性に会った時のこと。この方は子供2人のうち娘を乳がんで亡くし、その子供である孫を夫と共に育てていました。母親を亡くして悲しむ孫を気遣い、「わが家で最初に手にする毛布を孫に使わせたい」とうれしそうに話していました。その上、隣近所の家族のことまで心配し、「彼らも毛布を受け取れたら本当にうれしいのに」と語る姿はとても印象的でした。
やっとの思いで手にした大切な毛布を自らが使うことなく、自分以外の誰かに渡して使ってもらうことに喜びを感じるその人柄に触れ、「他を利する心」を私自身が教えられたのです。大変な暮らしの中であっても、周囲の人のことを心配される彼女の言葉に、“菩薩”の姿を見たような気がしました。マラウイでは、この女性のような方にたくさんお会いすることができました。
アフリカへ毛布をおくる運動推進委員会では2017年から19年まで、『アフリカから学び、行動する』をテーマに掲げ、活動を展開しています。今回、マラウイの人たちとの出会いを通して、目の前の相手や周囲の人々を思いやり、分かち合うことの大切さに気づきました。