『戦後80年、宗教者が考える平和への取り組み』をテーマに教団付置研究所懇話会第23回年次大会

年次大会では杉野恭一学林学長が、本会とWCRPの活動を例示しながら、仏教的徳倫理と平和教育について発表した

立正佼成会中央学術研究所が加盟する「教団付置研究所懇話会」の第23回年次大会が10月16日、『戦後80年に考える平和への取り組み~これまでとこれから~』をテーマに、滋賀県大津市の天台宗務庁で開かれた。24の研究機関から71人が参加。本会から学林の杉野恭一学長と同研究所学術研究室の西康友主幹が出席し、杉野学長が研究発表に立った。

大会では、受け入れ担当教団として天台宗の細野舜海宗務総長が開会挨拶。この後、天台宗総合研究センターの吉澤健吉研究員、大本教学研鑽所の三宅勝也主事、オリエンス宗教研究所のカブンディ・オノレ所長(カトリック淳心会司祭)、杉野学長がそれぞれ登壇し、発表した。

発題の中で吉澤氏は、比叡山宗教サミットの現代的意義について言及。山田惠諦第二百五十三世天台座主が尽力した「比叡山宗教サミット」開催までの道のりを詳述し、世界平和のために、諸宗教が祈りを通じて連帯することは宗教者の第一義であると強調した。

宗教者の平和活動の一つとして三宅氏は、大本の外郭団体「人類愛善会」による「大本歌祭(うたまつり)」を紹介した。歌祭は教団の記念日などに聖地で催され、会員らが人類和合への願いを込めた和歌を詠じ合う神事。同氏は、歌を通じて平和を祈念する尊さを語った。

宗教間対話の重要性についても取り上げられた。オノレ氏は、異なる宗教や文化、価値観などさまざまな違いを持つ人々が互いを認め、共存していくには対話が不可欠と主張。中でも、宗教に根ざしたスピリチュアルな対話の実践は、多様な人々が出会う出発点だと述べた。

杉野学長は、『戦後八十年における仏教的徳倫理と平和教育――立正佼成会とWCRPの事例を通して』を主題に発表した。フィリピン・バターン州でのフレンドシップタワー建立による和解実践、世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)の国際的宗教協力と制度的展開などを例示しながら、「個人徳(内省・誠実・慈悲)」「関係徳(共感・信頼・協働)」「制度徳(責任・連帯・公共性)」の三つの徳が関連し合い平和を築くと主張。さらに、学林の教育が宗教的平和教育のモデルであり、本会の平和活動がそのまま重要な教材になること、徳を生きる人間形成こそが本会の人づくりであると説いた。

◆教団付置研究所懇話会

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%95%99%E5%9B%A3%E4%BB%98%E7%BD%AE%E7%A0%94%E7%A9%B6%E6%89%80%E6%87%87%E8%A9%B1%E4%BC%9A