〈ひと〉日本初開催のデフリンピックでボランティアを務める廣井基予子さん(57)

座右の銘である「一生懸命」を手話で表す廣井さん

耳のきこえない・きこえにくいアスリートによる国際スポーツ大会「東京2025デフリンピック」(11月15~26日)でボランティアを務める。手話歴20年の経験を生かして大会運営や選手の交流を支える。

現在、立正佼成会本部職員として習学部教育グループに在籍し、大聖堂での式典や機関誌「佼成」の庭野日鑛会長の法話、各教会で行われる行事や法座の手話通訳などを担う。「自分は聞こえる人と聞こえない人の間にいるパイプ役。聞こえない人に何か一つでも教えが伝わってほしい一心でお役を務めています」。

同時通訳の場面では、仏教用語が出てくることも多く、例えば「諸行無常」を「様子/いつも/変わる」と表現するなど、素早く分かりやすいフレーズに変換する必要がある。そのため、新語や外来語に触れたら意味を調べて手話表現を考えるのが習慣になった。また、小説や漫画、ポッドキャストなどを楽しみながら言葉への意識を研ぎ澄ませている。

次男の病を機に手話を学び始めた。以来、学びを深める中で聞こえる聞こえないを問わず交友関係が広がり、デフアスリートとも数多く知り合った。

「今大会は第1回デフリンピックがパリで開催されて100周年。大会の歴史に敬意を表すとともに、今、自分がボランティアに携われる環境にあることは当たり前ではないと胸に刻み、これまでのご縁に対する感謝の気持ちを持って大会を支えたいと思います」