「北東アジア非核兵器地帯」の条約求め 宗教者が外務省へ要請

記者会見に臨む梅林宏道・ピースデポ特別顧問、髙見三明・カトリック長崎大司教区大司教、小橋孝一・日本キリスト教協議会議長、小野文珖・日蓮宗天龍寺院主、篠原祥哲・WCRP/RfP日本委平和推進部長(右端から順に)

「『北東アジア非核兵器地帯設立を求める宗教者声明』キャンペーン」(協賛・世界宗教者平和会議=WCRP/RfP=日本委員会)に取り組む宗教者ら7人が6月15日、東京・千代田区の外務省を訪れ、「北東アジア非核兵器地帯」の設立を求める要請書を岸田文雄外務大臣に宛てて提出した。薗浦健太郎外務副大臣が受け取った。

「非核兵器地帯」とは、地帯内の国による核兵器の生産、取得、保有および管理を禁止する一方、核不拡散条約(NPT)が定める核兵器国(米国、ロシア、英国、フランス、中国)には、地帯内への核兵器による攻撃や威嚇の禁止を条約や議定書で定めるもの。現在、ラテンアメリカ・カリブ海諸国、南太平洋、東南アジア、アフリカ、中央アジアの五つの非核兵器地帯が存在する。

同キャンペーンが推進する「北東アジア非核兵器地帯」構想は、日本、韓国、北朝鮮の3カ国が非核兵器地帯を形成し、関わりの強い米国、ロシア、中国の核保有3カ国が同地帯への核攻撃を行わないことを定めた条約を成立させることが目的。2013年、国連事務総長の軍縮諮問委員会が「事務総長は、北東アジアの非核兵器地帯の設立に向けた適切な行動を検討すべき」と勧告したことなどにより、同構想への国際的機運が一気に高まったことが背景にある。

昨年2月には、日本キリスト教協議会議長の小橋孝一師、天台宗宗機顧問でWCRP/RfP国際委員会軍縮安全保障常設委員会委員長の杉谷義純師、カトリック長崎大司教区大司教の髙見三明師、浄土真宗本願寺派僧侶の山崎龍明師の4人が代表呼びかけ人となり、同キャンペーンがスタート。同月12日に、『私たち日本の宗教者は、日本が「核の傘」依存を止め、北東アジア非核兵器地帯の設立に向かうことを求めます』と題する声明を発表し、国内の宗教者に賛同を求めてきた。同様の趣旨で、日本の自治体の首長546人の署名を集めたNPO法人「ピースデポ」がキャンペーンの事務局を務める。

薗浦健太郎外務副大臣(右)に要請書を手渡す髙見三明・カトリック長崎大司教区大司教(左) 提供・WCRP/RfP日本委

当日は、代表呼びかけ人の小橋師、髙見師ら7人が外務省を訪問。「声明」に賛同する宗教者124人の名簿を添え、薗浦副大臣に要請書を手渡した。

要請書では、核兵器の製造、使用、保有などを法的に禁止する「核兵器禁止条約」の成立に向けた第2回交渉会議が、この日からニューヨークの国連本部で始まることに言及し、被爆国の日本が会議に参加しないことへの失望の念を表明。その上で、同キャンペーンの推進する「北東アジア非核兵器地帯」設立に向け、地帯内の非核化を進めるために、日本が米国の「核の傘」から脱却し、核兵器依存政策を見直していく重要性を強調した。

この後、7人は外務省軍備管理軍縮課の横田直文首席事務官ら政府関係者と面会し、構想や核兵器禁止条約などについて意見を交換。午後には、衆議院第二議員会館で記者会見を開き、同キャンペーンの意図を詳述し、海外にも協力の輪を広げていく意向を示した。

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