本会職員対象の憲法学習会 『憲法9条(基礎編)』

日本国憲法の意義について学びを深める、立正佼成会職員対象の憲法学習会(全5回)の第2回が6月13日、大聖ホール(東京・杉並区)で行われ、36人が参加した。当日は、「明日の自由を守る若手弁護士の会」(あすわか)で活動する種田和敏氏が、『憲法9条(基礎編)』について講義した。

この中で種田氏は、憲法前文にある平和主義の理念に触れ、「日本は自国の平和だけでなく、世界の平和に向けて積極的に働き掛けることが示されている」と指摘した。その上で、前文に示された思想が9条に具体的に盛り込まれているとし、条文を解説。9条1項では「戦争の放棄」をうたっているが、戦争とは他国への侵略戦争を指し、自衛のための戦争の権利はあるとする見解が憲法学上の「通説」と述べた。

2項には、「戦力の不保持」「交戦権の否認」が示されており、「これによって自衛のための戦争を行うことはできず、結局すべての戦争が禁止されている」と詳説。これは、「正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し」という1項の目的を達成するためのものと強調した。

一方、1959年の砂川事件の最高裁判決を紹介。9条で戦力の保持が禁止されているものの、国連憲章で認められている個別的自衛権を現憲法は否定しているわけではないとする判例を説明した。

また、一昨年に成立した安全保障法制は違憲性が高いと指摘し、現在の「憲法改正」の論議に言及。衆参両院で改憲勢力が国会の3分の2以上の議席を占める現状を踏まえ、「『憲法9条』が無くなってしまうという危機感を持ちながら、改憲派の議論を研究し、その議論に参加する必要がある」と力説した。