「バチカン諸宗教対話省長官のアユソ枢機卿が逝去」など海外の宗教ニュース(海外通信・バチカン支局)
一方、ウクライナ人の持つ内的源泉とウクライナ国家は、「世界における多くの不正義、現代世界によって喪失された人間性という状況が生み出す、多くの問題に対する解決策の一部である」と訴える。「(世界の)外交官たちも、このウクライナが持つ希望の源泉と強靭さからの挑戦を受けている」のだ。
ウクライナのオレーナ・ゼレンスカ大統領夫人は20日、バチカンで30分にわたり教皇と懇談し、「ウクライナ和平のための絶え間ない(200回にも及ぶ)アピールと国民への支持と支援」「教皇特使(マテオ・ズッピ枢機卿)による和平に向けての雰囲気づくりに関する努力」「バチカンの小児科病院での数1000人に及ぶ戦争で負傷した子どもたちの治療」などについて謝意を表した。これを受け、教皇は、「殉ずるウクライナ国民への連帯」を改めて表明した。
懇談を終えた同大統領夫人は、X(旧ツイッター)に「私の国では毎日、毎晩、サイレンが鳴り響き、爆音が聞こえています。ロシアが平和なウクライナ人と、私たちの子どもを殺戮(さつりく)しています。私はこうした状況について、教皇に報告せざるを得なかった」と投稿した。
同大統領夫人は教皇との懇談後、リトアニア、セルビア、アルメニアの首相夫人と共に、バチカン広場で執り行われた教皇との一般謁見に臨んだ。教皇は一般謁見の終わりに、世界から参集した信徒たちに向かい、「ロシアによるウクライナ侵攻から1000日が過ぎた」と呼びかけた。さらに、「(多大な)犠牲者と破壊を生み出した悲劇的な記念日」「全人類にとって恥ずべき災厄の日」と糾弾し、一昨日にウクライナの大学生から受け取った書簡の内容を紹介。「水曜日の一般謁見で、この恐るべき戦争が勃発してから1000日が経ったことを全世界に向かって話される時、発言を私たちの苦しみについてだけに限定しないでください。私たちが、苦しみを筆として復活したキリストの絵を描いている、その私たちの信仰についても話してください」と記してあったと述べた。会場の壇上に着座したゼレンスカ大統領夫人は、感動した面持ちで教皇の言葉に耳を傾けていた。