立川教会発足50周年 樹齢60年 教会見守った“クスノキさん”からの贈り物
都内各地で猛暑日が続いた7月下旬、立正佼成会立川教会砂川東支部の支部長(66)と主任(65)ら4人は、額に汗しながら立川市内の会員宅を回った。教会発足50周年記念日に向けた「感謝の手どり」だ。訪問先では、青々と茂る樹木の写真と木製の飾りが付いたストラップを手渡した。
樹木の写真を感慨深げに見つめたのは壮年部員のYさん(78)。同教会に転入して50年、渉外部長や壮年部長を歴任した。「晴れの日も雨の日も、この木を眺めながら道場を参拝したものです。子どもたちに佼成会の信仰を継承でき、多くの法友を得られたことは生涯の宝になりました」。
写真とともに手渡すストラップの飾りは、道場脇に生えていた一本のクスノキを素材にしたものだ。樹齢60年、高さ10メートル以上の大木だったが、3年前の春、防犯上や安全面の事情から、やむなく伐採された。残った木材の処分について教会幹部で話し合う中、「長い間、道場から流れる読経を聞き、サンガ(教えの仲間)を間近で見守り続けたクスノキを心に留めておきたい」との声が上がった。
そこで、車の鍵やかばんに付けられる小物にし、“お守り”として会員に贈ることを決めた。
壮年部有志が中心となって、切り出した木材をヒョウタンや勾玉(まがたま)を模した小さな板材に加工。それを支部長、主任、青年婦人部員らが自宅に持ち帰り、一つ一つヤスリをかけ、ひもを通して作り上げていった。
制作はコロナ禍の中で進められ、手どりが始まる今春までに3500個が完成した。作業班の責任者、Kさん(77)は「クスノキのお守りは、困難な状況下で皆が一体となって作り上げた真心の結晶。周年記念の年にサンガに手渡せて、感謝と喜びでいっぱいです」と語る。
全9支部が11月3日の記念日までに手どりを終了。感謝や懐旧の思いを胸に、それぞれが当日を迎えた。