第48回生誕地まつり 秋晴れの十日町で元気に市中行進(動画あり)

御殿場教会 壮年部の富士山神輿 亡きサンガとも心一つに

午前10時半、市中行進のスタート地点に「富士山」が現れた。鮮やかな青色が目を引く1.5メートル四方の神輿(みこし)を担ぐのは、御殿場教会の壮年部員20人だ。

同教会の出場は22年ぶり。以前は地元の名物「わらじ大祭」にちなみ、巨大な「わらじ神輿」を携えて行進を盛り上げたが、その後は人手不足で長く参加が途絶えた。

転機が訪れたのは2019年。壮年部の会議で、同副部長(当時)のEさんが「久しぶりに生誕地まつりへ行きませんか」と口にしたことから、サンガの間で生誕地への思いが強まった。台風やコロナ禍で延期したものの、来年に教会発足70周年を迎えることから、「みんなの心を一つにしよう」と参加を決めた。

マトイや鳴り物に加え、壮年部が新たに考案したのがこの「富士山神輿」だ。富士山のふもとに位置し、由緒ある登山口を持つ御殿場ならではの催しを目指し、半年をかけて手作りしたという。

だが昨年、参加のきっかけをつくったEさんが、病のため58歳で逝去。壮年部員は志半ばで倒れた仲間を偲(しの)び、神輿の中にEさんの写真を入れて行進に臨んだ。当日は、懐かしい十日町の風景をかみしめながら、力強いかけ声とともに心を合わせ、笑顔で歩き切った。

実行委員長のKさん(64)=壮年部長=は、「皆が互いを思いやって、楽しく取り組めたことが有り難かったです。Eさんも私たちと一緒に笑顔で神輿を担いでくれていたと思います。これからも、家族のように温かい教会を築いていきたい」と語った。

長岡教会 仲間と取り組んだ40日間の祈願供養

朝6時、Kさん(37)=長岡教会青年部長=は、ご宝前に置いたスマホに向けて「おはようございます!」とあいさつした。オンライン上に集うサンガ(教えの仲間)と、生誕地まつりの参加に向けた祈願供養をするためだ。実行委員長であるKさんは導師をつとめ、心を込めて読経供養を行う。9月4日の開始から、毎日40人ほどが参加してきた。

Kさんは当初、祈願供養は無事に行進を終えることを願うものと受けとめていた。実行委員長としての責任感も背中を押した。だが、日にちが経つにつれて、多忙な仕事と役で疲労がたまり、早起きもつらくなってきた。

3週間ほど過ぎた頃、山川貴代教会長から心境を尋ねられた。正直な気持ちを伝えると、山川教会長は、Kさんが「仲間を、仏さまを信じられるようになるための祈願供養なのよ」と伝えた。自身の捉え方と違い、Kさんは戸惑った。

しかし、その言葉が心に残り、翌日から一緒に取り組む人々を思い読経した。すると、自分を含めた参加者全員を励まし、支えようと真摯(しんし)に祈りを捧げるサンガの温かな気持ちに気づき、胸が熱くなった。役に対する厳しい言葉も、自分を信じて任せる期待の表れと受けとめ、「みんなが自分を成長させてくれる存在」と強く感じた。

当日は、40日間の祈願供養を思い返し、感謝を込めて行進したと語るKさん。「これからも、仏さまとサンガを信じきり精進していきたい」と笑顔を見せた。

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