新宗連全国総会 令和7年度事業大綱案を理事会で審議(動画あり)

5年ぶりに開かれた全国総会。理事や評議員ら57人が参加した

新日本宗教団体連合会(新宗連)の令和6年度「全国総会」が10月8、9の両日、福岡・筑紫野市の善隣教本庁などで開催された。理事、評議員、各総支部の会長、オブザーバーら合わせて57人が参加(オンライン参加含む)。本会から庭野光祥次代会長(新宗連常務理事)、熊野隆規理事長(同理事)、國富敬二徳島教会長(同監事)らが出席した。

当日の様子(クリックして動画再生)

8日、善隣教本庁で行われた「第33期第2回理事会」では、冒頭、受け入れ教団を代表して善隣教の武廣茂樹理事長が歓迎の言葉を述べた。武廣理事長は先代教主である力久隆積聖主が生前、新宗連の活動に心血を注いできたことを述懐。「神仏に帰依する諸宗教の先生方が一堂に会し、一致団結する今日の様子を、聖主は何より喜んでいると思う」と語った。

開会挨拶に立った深田充啓名誉会長(円応教教主)は、多くの仲間と心を通わせ、共に歩んだ新宗連での活動は、「幸せな時間だった」と吐露。今後もより一層の宗教協力にまい進するとともに、多くの青年にも新宗連の活動に参加してもらい、互いを高め合う時間にしてほしいと期待を寄せた。

続く審議では、石倉寿一理事長(大慧會教団会長)を議長に進行。令和7年度の事業大綱案、行事予定、規程・内規等の改訂について議論された。事業大綱案では、新宗連の四つのスローガンの実現を目指した重点課題として、「信教の自由」について認識を深め、平和を担う人材育成に取り組むほか、来年が終戦80年の節目の年であることから、「すべてのいのちを尊ぶ世界」の実現に向けた特別事業に努めることなどが承認された。

次いで、新宗連本部、各委員会・機関などによる今年度の活動報告が行われた。この中で、石倉理事長は、能登半島地震の支援活動として今年4月から実施しているボランティア派遣について報告。加盟教団から延べ512人の参加があったことや、9月に発生した豪雨被害では、派遣中であった第5次、第6次ボランティア隊が石川・七尾市内の床下浸水家屋の復旧作業にあたったことを伝えた。また、今後も年内をめどにボランティア派遣、勧募共に継続されることが確認された。

新宗連の創設の願いを振り返りながら、現代の「生きづらさ」に向き合うことが、先達の意志を引き継ぐことになると、自身の思いを語る光祥次代会長

この後、来年度の重点課題である「すべてのいのちを尊ぶ世界」実現のためのビジョンについて、意見交換の時間が持たれた。冒頭、常務理事の光祥次代会長が意見を述べ、新宗連には歴史的意義が深い重要な活動が数多くあると強調。「東南アジア青年平和使節団」は派遣から50年が経つが、深田名誉会長をはじめ当時の青年たちがその時に感じた「自分たちがやるんだ」という情熱、その情熱に突き動かされて始まったところに価値があるのだと思うと吐露した。その上で、「当時の先生方の思いを本当に引き継ぐとはどういうことなのか」と考えたとき、今起きている問題と向き合い、苦しみや悲しみの中にいる人々と共に歩むための活動を、この「すべてのいのちが尊ばれる世界」の実現に向けたビジョンの中で推進していくことが、先達の思いを真に引き継ぐことなのではないかと語った。

これを受け、企画委員会委員長の田澤清喜理事(松緑神道大和山教主)が、企画委員会でも「すべてのいのち」について話し合ったと報告。戦後80年にあたり、亡き御霊(みたま)に祈りと慰霊を捧げることを大切にしつつ、さまざまに「生きづらさ」を抱える現代の人々へも宗教者として手だてを行っていきたいと述べ、「祈りと慰霊推進事業」という事業タイトルの変更について提案した。

参集した理事からも、「すべてのいのちとは、過去・現在・未来の三つのいのちを指す」「当時の先生方に聞き取りをしてはどうか」などの意見が上がり、最後に石倉理事長がコメント。終戦80年が念頭にあり、宗教者としてまずは祈りと慰霊が大事だと考えたが、今回の意見交換を通して、LGBTQ(性的少数者の総称)や薬物依存などさまざまな問題について「学び、知るところから始めようと思う」と述べた。

御霊殿に参拝する参加者たち

なお、開会に先立ち、参加者は善隣教本庁聖堂・御神前ならびに御霊殿、祖霊殿(二代目教主永劫壇)を参拝した。

翌9日には、会場を福岡市内のホテル日航福岡に移し、第33期第1回全国総支部会議が行われた。