令和6年次「目で学ぶ み教え 目で聴く 法座」〈耳の聞こえない人・聞こえにくい人のハイブリッド(リアル・オンライン)の集い〉

行程中は手話通訳と文字表示が準備され、ボランティアスタッフによるサポートも実施された

『敬と恥は一対である 一歩踏み出して自分自身の成長を目指そう』をテーマに、立正佼成会習学部教育グループ主管の令和6年次「目で学ぶ み教え 目で聴く 法座」〈耳の聞こえない人・聞こえにくい人のハイブリッド(リアル・オンライン)の集い〉が8月25日に開催された。

会員たちは心一つに「方便品」「如来寿量品」を読誦(どくじゅ)した

同集いは、聴覚障がいのある会員が共に教えを学び、菩薩行実践への決意を新たにするもの。昨年に続き対面とオンラインを併用して行われ、会場の法輪閣(東京・杉並区)には22人が参集、11人がオンラインで参加した。行程中は手話通訳と文字表示が準備され、ボランティアスタッフによるサポートも実施された。

当日は、読経供養の後、副実行委員長の広島教会組長(57)があいさつ。今回のテーマは、実行委員が庭野日鑛会長の『年頭法話』を読み、それぞれの受けとめ方を話し合う中で考案したと述べ、「皆さんも尊敬している人を見習ってチャレンジし、自分自身の成長を大切にしてください」と呼びかけた。

参加者同士で支え合いながら集いは進められた

続いて、実行委員長の西条教会会員(37)が体験説法に立った。先天性の難聴がある会員は、ろう学校卒業後に周囲とのコミュニケーションに苦心し、人付き合いを避けるようになった経緯を詳述。同集いの前身である「アイラブ団参」に参加し、それぞれに困り事を抱えながらも真剣に役を務めるサンガ(教えの仲間)の姿から学び、自身も諦めずに周囲との意思疎通に取り組んだことで、仲間との交流を楽しめるようになったと語った。

家庭生活では、中学生の息子が家族や友人と温かく触れ合う姿を見て、自己中心的な言動をとってきた自分自身の今までの人生を省みるとともに、息子に対する尊敬の念が芽生えたと述懐。優しい息子の姿から素直に学び、息子にふさわしい親として成長できるよう精進していくことを誓った。

対面とオンラインの混合で行われた法座の様子。自身の尊敬する人や、新たに挑戦したいことを語り合った

この後、対面とオンライン、混合の6班に分かれて法座が行われた。集いのテーマや体験説法を踏まえ、尊敬する人と出会い自分の至らなさを感じた体験や、新たに挑戦したいことを1時間半にわたって語り合った。

参加者の一人である川口教会組長(49)は法座の中で、5年前から難聴が進行し、左耳が全く聞こえず、右耳の聴力も徐々に失われている現状を吐露。相手の言葉が聞こえづらい現実を受けとめきれず、悲しみの中で日々を過ごしていると明かした。

「前向きに頑張っている聴覚障がいのある人と知り合いたくて、集いに来させて頂きました。皆さんと出会えて幸せです。足りないことより、今できることに目を向けられる自分になりたいと願っています」