佼成学園創立70周年記念式典 庭野学園長が諭告 それぞれの理想に向かって学園生活を(動画あり)

大聖堂で開かれた「佼成学園創立70周年記念式典」。会場は、生徒、教職員らで埋め尽くされた

学校法人佼成学園の「令和6年度創立70周年記念式典」が9月7日、立正佼成会の大聖堂(東京・杉並区)で行われた。佼成学園中学・高校、同女子中学・高校の生徒、来賓、教職員、同窓生ら約2600人が参集した。参加者が一堂に会して、記念式典が挙行されたのは5年ぶり。

当日の様子(クリックして動画再生)

当日は、女子高生徒による優美なパイプオルガンの演奏で開幕。冒頭、創立者である庭野日敬名誉学園長の足跡、学園創設に傾けた情熱と願いを紹介する映像が流された。

続いて、中村憲一郎学園理事長が式辞に立った。中村理事長は知情意を豊かに育み、平和な社会の実現に貢献する人材育成を目指す「建学の精神」に言及。庭野名誉学園長の人生はその精神を体現していたと強調し、法華経による人々の救済と世界平和に尽くした創立者の生き方に倣い、「『行学二道』の精神で、志を高く掲げ、未来の担い手として歩んで頂きたい」と述べた。

この後、諭告に立った庭野日鑛学園長は、人は新陳代謝を繰り返しながら身体を保っていると明示。新たな一日を迎えるたびに、「新しいいのちが生きている」と受けとめ、日々を過ごしていくことの大切さを説いた。

さらに、読書の重要性について触れ、読むたびに自分の気持ちが高揚するような人生の愛読書を見つけ、それぞれの理想に向かって学園生活を送って頂きたいと激励した。

式典終了後、『どうしたら、世界は平和になるんだろう』をテーマに、認定NPO法人テラ・ルネッサンス理事で同法人創設者の鬼丸昌也氏が講演した。鬼丸氏は、自身が国際協力事業に身を投じるようになった経緯をはじめ、同法人が取り組む元子ども兵への社会復帰などに関する支援活動を紹介した。

記念講演に立った鬼丸氏。多感な中高生時代にこそ、平和や幸せについて考えてほしいと訴えた

ウガンダでは武装勢力により戦地に送られ、心身を傷つけられた人々が自立できるよう職業訓練や起業支援を展開していることを説明。また、半導体などに用いられるタンタルをはじめ希少金属や貴金属を巡る紛争が長引くコンゴ民主共和国で、子どもが戦闘に駆り出されている実情や女性への性暴力について言及した。

日々使っているスマホの素材や、チョコレートの原料であるカカオなど児童労働にも関わる農作物は、どこから、どのように調達されているのかを確認することが世界の諸問題に目を向ける一歩につながると強調。「事実を知り、周りに伝え、できることを続けていく。あなたにしか救えない人々が存在することを知ってほしい」と生徒に呼びかけた。

この日、 生徒を代表して男女両高の生徒会長が一緒に司会を担当した。「司会を務めながら、先生や友人、家族のおかげで生徒会長の役も学業も両立できているんだとの思いが心に浮かんできました。周囲への感謝を忘れず学園生活に臨みたい」と女子高生徒会長。男子高生徒会長は「式典を通じて、本学の『建学の精神』をかみしめることができました。その理念は、現代社会に通じるものだと改めて感じられました」と感想を語った。

なお、午後には法輪閣で記念祝賀会が催され、男女両校の卒業生ら約600人が集い、旧交を温めた。