「ウクライナ最高会議がモスクワ総主教区系正教会の存続を禁止」など海外の宗教ニュース(海外通信・バチカン支局)
教皇がインドネシアでムスリムとの合意文書に署名
ローマ教皇フランシスコは9月3日から5日まで、ムスリム(イスラーム教徒)の人口が世界最大であるインドネシアを訪問し、最終日には、ジャカルタにある東南アジア最大のモスク(イスラームの礼拝所)「イスティクラル」で執り行われる「諸宗教者の集い」に出席する予定だ。その席上、同国のムスリムとの「人道(人類友愛)、寛容、環境」に関する合意書に署名するという。アジアのカトリック通信社「UCAニュース」が8月27日、イスティクラルの指導者であるナサルディン・ウマール師(大イマーム)の発言として伝えた。
ウマール師は、「イスティクラルが、インドネシアで寛容と調和が謳(うた)われていることを世界に示す、歴史的なイベントを証することになる」と話し、教皇による合意書への署名を評価した。
同国カトリック司教会議「教皇受け入れ委員会」で報道官を務めるウルン・イスモヨ神父は、合意書は「信仰と人類」に関するものであり、教皇の署名を支持したことを明かした。また、「影響力のある諸宗教指導者が一致するならば、社会の“共通善”に奉仕できる」とも伝えた。
インドネシアのムスリムとの合意書に対する教皇の署名が実現すれば、2019年にアラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビで、教皇がイスラーム・スンニ派最高権威機関「アズハル」(エジプト・カイロ)のアハメド・タイエブ総長と共に署名した「人類の友愛に関する文書」に次ぐ、重要なイスラームとの合意文書となる。
ジャカルタ中心部のムルデカ広場には、イスティクラルとカトリック教会「被昇天の聖母マリア教会」(大司教座聖堂)が対面する形で建立されており、両礼拝所を地下道で結ぶ工事も終了した。両宗教間で信徒の交流を促進するための地下道は「友愛通路」と命名されており、教皇のインドネシア訪問に合わせて、開通式典が挙行される。
この二つのイニシアチブは、同国内で「インドネシアの建国精神である諸宗教間での調和原則(パンチャシラ)の実践である」(同国マアルフ・アミン副大統領)と評価されている。
教皇は、インドネシア訪問後、9月6日から13日まで、パプアニューギニア、東ティモール、シンガポールを訪問する予定だ。