「ウクライナ最高会議がモスクワ総主教区系正教会の存続を禁止」など海外の宗教ニュース(海外通信・バチカン支局)
自律型致死兵器システムの禁止を――バチカン
バチカン国連欧州本部常駐代表のエットレ・バレストレロ大司教は、国連ジュネーブ事務局で開催された「自律型致死兵器システム(LAWS)の新興技術に関する2024年政府専門家グループ(GGE)第2セッション」(8月26~30日)で演説した。
この中で、同大司教は、「LAWSの使用を禁止する、拘束力のある確固たる法的措置」を提唱し、その制定に至るまで「LAWSの開発と使用に関するモラトリアム(停止)」を訴えた。人間の介入なしにAI(人工知能)自らが判断して攻撃する兵器システムは、「国際人道法や現存する国際義務」に反すると強調。「どんなに複雑なものでも、道徳的な責任を持つ主体」としては考えられず、人間だけが「道徳的判断という唯一の能力を持つ」と述べた。
さらに、今年6月にイタリアで開催された主要7カ国首脳会議(G7サミット)の拡大会議で、AIについてスピーチしたローマ教皇フランシスコが指摘した「人間(とAI)の選択と決断の違い」を引用。「機械はアルゴリズムに基づく技術的選択をするだけ」であり、叡智(えいち)に基づく決断能力は人間のみにあるもので、「どんな機械に対しても、人間の生命を奪う選択をさせてはならない」とアピールした。
国連のグテーレス事務総長も、国連総会で採択された決議を受けて、各国や人権団体などからの意見をまとめた報告書を公表し、「機械が自律的に人間を標的とすることは、越えてはならない道徳的一線だ」と発言していた。
(宮平宏・本紙バチカン支局長)