沖縄宗教者の会「第32回祈りと平和の集い」 “チムグクル(思いやり)”の心で世界平和を祈願 広島、長崎でも慰霊式典

さまざまな宗教者が一堂に会し、宗教・宗派の違いを超えて平和と不戦への祈りを捧げた

「沖縄宗教者の会」主催の「第32回祈りと平和の集い」が8月15日、糸満市の沖縄平和祈念堂で開かれた。諸宗教者ら約200人が参加。立正佼成会から、世界連邦日本宗教委員会理事として佐原透修総務部次長(渉外グループ)をはじめ沖縄教会の会員が参列した。

沖縄宗教者の会発足とともに始まった同集いは、『沖縄から世界へひろげよう 平和の祈り』をスローガンに掲げ、「戦没者の鎮魂と永遠の平和を祈る沖縄の心を象徴する霊地・聖地」といわれる「摩文仁の丘」の同祈念堂で、宗派を超えた宗教者が戦争犠牲者を追悼し、世界平和を祈ってきた。コロナ禍による2度の中止を経て今年から例年通りの実施となった。

式典では冒頭、第1回の集いから運営に携わってきた高野山真言宗護国寺の名幸俊海名誉住職が「開式のことば」に立ち、「世界には現在も、惨禍に耐えながら苦難の道を歩んでいる人々が大勢います。小さな運動、たゆまぬ努力によって世の中が少しでも変わることを信じて、人々の心の平安を祈っていきたい」と語った。次いで、天理教の儀礼儀式にのっとり「平和への祈り」が執り行われた。この後、参加者全員で5分間の黙とう。3回の鐘の音に合わせて戦没者、震災犠牲者ならびに紛争犠牲者への慰霊と、被災者の安寧を祈るとともに、平和実現への決意を新たにした。

続いて、中高生2人が「誓いのことば」を読み上げた。中学生代表として登壇した本会沖縄教会の学生部員(15)は、小学生の頃に「平和の礎(いしじ)」を見学して気づいた平和の尊さについて発表。沖縄戦の痛ましい記憶を継承していくとともに、日頃から思いやりの心を持って人と触れ合っていくことを誓った。

また式典では、沖縄県の玉城デニー知事からのメッセージが披露された。この中で、玉城知事は世界情勢に触れ、「忌まわしい戦争の記憶を風化させない、同じ過ちを繰り返させないため、沖縄戦の教訓を正しく次世代に伝え、平和を希求する『沖縄のこころ・チムグクル』を世界に発信し、共有することを呼びかけていきましょう」と述べ、世界の人々が違いを認め合い、信頼して対話を行うことで心穏やかに生活できると強調。国境を越えて、あらゆる場面でつながっていくことが今こそ重要だと語った。

さらに、「沖縄の人々の寛容性と協調性、平和への熱意を示す活動にこれからも御尽力いただきますよう心からお願い申し上げます」と述べ、宗教者による平和活動に期待を寄せた。

聖職者を代表してあいさつに立つ福田沖縄教会長

最後に、沖縄教会の福田昌弘教会長が「閉式のことば」に立ち、「来年は戦後80年を迎えます。皆さまと一緒に沖縄から日本、世界に向けて、平和のための人づくり、その理念を発信したいと願っています」と語った。

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