「過去を知り、現在を知り、未来のために」 朝霞・上尾両教会学生部が平和学習

目の前の平和を見つめようと、朝霞・上尾両教会による「夏の平和学習」が行われた

肌を焦がすような日差しが降り注ぐ中、東京・港区にある在日ウクライナ大使館前で、ナディア・ボズディガン一等書記官が口を開いた。「皆さんが今も忘れずに思ってくださるから、ウクライナの人々は頑張れるのです」――。戦禍にあるウクライナの人々を思い、平和の大切さを訴える一等書記官の言葉に、10代から20代の学生たちが真剣に聞き入っている。最後に、学生たちから折り鶴と義援金が手渡された。

来年迎える戦後80年を前に、今、世界で起きている戦争や対立に目を向け、自分にできる平和行動を見つけようと、立正佼成会朝霞・上尾両教会の学生部は8月3、4の両日、「夏の平和学習2024」を実施。学生部員ら26人が参加した。両教会はこれまでも青年塾を通して共に法華経を学び、昨年10月の「生誕地まつり」にも合同で参加するなど交流を重ねてきた。

ウクライナ大使館前で一等書記官の話に耳を傾けた

3日、在日ウクライナ大使館での交流を終えた一行は永田町に移動し、大宮教会の会員でもある、熊谷裕人参議院議員(埼玉県選出)の案内で休会中の国会議事堂を見学。本会議が開かれる「参議院議場」や、議事堂のシンボルである中央塔の真下に位置する「中央広間」などを観覧した。この後、参議院議員宿舎で熊谷議員と交流。事前学習の際に参加者で出し合った質問を基に、「物価の高騰と外交の関係」「日本の自衛隊活動の透明化」などについて語り合った。

国会議事堂内を見学

夕方、宿泊場所の第二団参会館(東京・杉並区)に戻った一行はグループワークを実施。一日を通して見聞きしたことを踏まえ、国連が定める「持続可能な開発目標」(SDGs)の17項目の中から、優先的に取り組みたいものを三つ選出し、班の中で発表した。

翌4日は、前日のワークを基に、「私にできる平和行動」を班ごとに模索。「SDGsと戦争がどう関係しているのか」「食品ロスが他国の飢餓を生み出し、奪い合いや対立につながっているのでは」といった視点から、優先的に取り組みたい三つの項目をさらに深掘りし、班としての行動プランを作成した。

最後のプレゼンテーションでは、各班が考案した行動プランを発表した。この中で、1班は、SDGs17項目のうち「2、飢餓をゼロに」「4、質の高い教育をみんなに」など4項目をベースにした行動プランを考案。『なぜ戦争が起こるのか? 守られないSDGs』を主題に、土地や資源の奪い合いが戦争の要因の一つであることから、食品ロスの削減や教育環境の整備の重要性を訴えた。さらには、他者を知ることが「武器を持たない世界をつくる」と主張し、具体的な実践として「日常の中での節約」などを宣言した。

参加者の一人、朝霞教会学生部員(19)は、「現在通っている看護学校では、“人道”に基づいた看護者の育成を目指しています。今回、在日ウクライナ大使館の一等書記官の言葉を聞き、人道とは思い続ける心だと感じました。これからも、テレビやインターネットの情報だけでなく、実際に戦争に直面している当事者に話を聞き、真剣に世界の状況と向き合い、私なりの人道を深めていきたいと思います」と感想を話した。