イスラエルに武器を売るな――米国ユダヤ教徒たちの抗議(海外通信・バチカン支局)

こうした中東情勢を背景に、ネタニヤフ首相は米国を訪問し、24日には上下院合同会議で演説。翌25日にはバイデン大統領と会談した。一方、同首相の演説に先立つ23日、数百人の米国人ユダヤ教徒が、同国議会議事堂にあるキャノンハウス・オフィスビルの広間で、「パレスチナ人の民族虐殺(ジェノサイド)を継続するイスラエル軍に武器を売らないように」とバイデン政権に抗議する運動を展開した。これは、反シオン主義者たちのグループで、革新派ユダヤ人で構成される最大の世界組織「平和のためのユダヤ人の声」が主導したもの。米国の宗教国際通信社「レリジョン・ニュース・サービス」、イタリアの「ANSA通信」が関連ニュースを配信した。

ラビ(ユダヤ教指導者)や、ユダヤ教徒を含む参加者は、「イスラエルに武器を売るなと主張するユダヤ人」と書かれた赤色のTシャツを着用。「全ての人が自由になるまで誰も自由になれない」「ユダヤ人たちは主張する。今こそ、恒常的停戦をと」と書かれたプラカードを掲げ、「即刻、イスラエルへの武器提供を停止せよ」「即刻、武器の禁輸を」「自由なるパレスチナ!」「ガザに生命を!」などと叫んだ。

「平和のためのユダヤ人の声」はこれまで、米国議会議事堂だけでなく、ニューヨーク、フィラデルフィアなど多くの州都で、ガザ地区での停戦やパレスチナ人の権利の擁護を求める大規模な抗議運動を展開してきた。

学生が中心となり、全米の大学キャンパスなどでも「パレスチナ擁護のための抗議運動」が行われた。この学生による抗議運動の指導者であるベンジャミン・カーステン氏は、「私の(ユダヤ教の)信仰体験が、ユダヤ教徒のうちにある抑圧されている人々(パレスチナ人)との連帯や、(イスラエル)国家による暴力と軍事主義に反対するために果敢な立場を取った人々が多くいることに気づかせてくれた」と話した。