第37回庭野平和賞受賞者の法輪師が来会 庭野会長と懇談

庭野会長と懇談する法輪師(写真右)

韓国の在家仏教教団「浄土会」の創立者で、「第37回庭野平和賞」を受賞した法輪(ポンニュン)師が6月27日、立正佼成会本部(東京・杉並区)を訪れ、庭野日鑛会長と懇談した。庭野平和財団から庭野浩士理事長、仲野省吾事務局長が、本会から和田惠久巳総務部長らが同席した。

法輪師は、1953年、韓国蔚山(ウルサン)広域市生まれ。16歳で曹渓宗の佛心道文法師の下で得度し、35歳の時に仏教による社会問題の解決を目指し、在家仏教教団「浄土会」を創立した。真の平和(浄土)を実現するため、心の安寧を養い、利他の実践に打ち込める仏道修行の場を提供した。

さらに、「慈悲の実践を通じて世界全体の幸福に貢献する」との理念に基づき、浄土会内に多くの社会活動団体を創設。紛争や自然災害、社会の不公正、環境破壊といった問題に苦しむ世界の人々の救援に取り組むとともに、諸宗教者と協働して北朝鮮の人々への支援も続け、朝鮮半島の平和構築に尽くしてきた。2002年、アジアのノーベル賞と称される「ラモン・マグサイサイ賞」(平和と国際理解部門)を受賞。18年には、韓国政府から、市民統一運動に対し、国民勲章牡丹章が授与された。

こうした功績が評価され、20年、「第37回庭野平和賞」を受賞。当時、新型コロナウイルス感染症が世界的に流行していたため、贈呈式はオンラインで行われた。今回、同財団の招待を受け、改めて受賞の喜びを伝えるため本会を訪問した。

当日の様子(クリックして動画再生)

27日、本会を訪れた法輪師は、大聖堂4階の坐床(ざしょう)で礼拝し、大聖堂建立に込められた庭野日敬開祖の願いや本尊の説明などに耳を傾けた。その後、一乗宝塔を参拝し、法輪閣で庭野会長と1時間にわたって懇談した。

懇談では、庭野会長が、法輪師の受賞から4年が経ったことに触れながら、歴代の受賞者に思い出があると話した。法輪師が「以前にも韓国の姜元龍(カン・ウォンヨン)師が受賞しましたが、覚えておられますか?」と尋ねると、庭野会長は「もちろん、よく覚えています。私の父親が亡くなってからは、姜元龍師は父親みたいなもので、たくさんご指導頂きました」と懐かしんだ。

法輪師を笑顔で迎える庭野会長

さらに、庭野会長は、1986年に開かれたアジア宗教者平和会議(ACRP)の第3回会議に出席するため初めて渡韓したことを述懐。姜師が議論を盛り立ててくれたおかげで、会議がスムーズに進んだことを振り返ると、法輪師は「年齢を重ねると保守的になる人が多いが、姜師は亡くなるまで進歩的な方でした」と故人を讃えた。

また、法輪師は、姜師が生前、韓国人労働者の権利の保護や北朝鮮への人道支援、宗教対話など朝鮮半島の平和のために尽力したことを紹介。「私も姜師が亡くなるまで、社会活動をはじめACRPやKCRP(韓国宗教人平和会議)で共に活動しました」と振り返った。

このほか、懇談では、法輪師が人々の悩みに応える「即問即説」という活動が話題に上った。法輪師は、人の悩みは対話によって乗り越えられるという仏教の「対機説法」の教えを実践しているのが「即問即説」だと紹介。現代の若者は宗教を嫌うが、日常生活の悩みに教えを織り交ぜながら応えることで、関心を寄せるようになると話した。また、懇談前に見学した開祖記念館について触れ、庭野開祖が示した本会の手どりや法座も、生活の中で仏教を実践するという修行で、「浄土会の活動に通じるものを感じました」と庭野会長に伝えた。

顕彰メダルを手渡し、記念撮影に臨む庭野会長と法輪師

最後に、庭野平和財団の名誉会長である庭野会長から法輪師に、2020年に贈呈できなかった受賞記念の顕彰メダルが手渡された。