秋田教会発足60周年記念式典 錦戸新観師の弟子・須藤光昭仏師を招き、出会いの尊さを深める

「人前で話すことより、ノミを持って仕事をする方が得意」と話す須藤仏師だったが、ふるさと・鳥海の思い出や、師匠との触れ合いなどを気さくに語り続けた

今年、発足60周年を迎えた立正佼成会秋田教会は、『輝かそう自分らしさ。 つなげよう悦びの輪。』をスローガンに掲げ、教会を挙げて3通りの周年記念式典を企画した。その中で、6月15日には、総務スタッフと支部会計らを中心に、教会道場で2回目の記念式典が行われた。

法座席が参加者でいっぱいになり、別室のテレビを通して式典に参加する会員たち

朝から日差しが照りつける中、会場には来賓や会員たちが続々と参集。当日は、須藤光昭仏師を招き、『キセキの出逢い』と題して会員との対話の時間が設けられた。須藤仏師は、本会大聖堂のご本尊像を制作した故・錦戸新観師の弟子であり、秋田県由利郡鳥海町(現・由利本荘市)で育った仏像彫刻家。オンライン配信の視聴者を含む会員ら323人は、同教会とゆかりの深い須藤仏師の話に耳を傾けた。

子どもの頃からものづくりが好きだった須藤仏師は、中学卒業後、京都を拠点とする仏師に弟子入り。その後、東京の錦戸師のもとで修行を積んだ。須藤仏師が再び京都を拠点にした時、錦戸師から「今はどういう仕事をしているのか」と何度も連絡をもらい、離れていても気にかけてくれていたと振り返った。

その上で、自身の心に今も残っている、「弟子たちがこうして頑張ってくれるから、今の僕があるんだよ」との錦戸師の言葉を紹介。〈あれほど立派な先生が、私たちにそのような言葉をかけてくれるなんて〉と驚くとともに、感謝の思いが湧いたという。また、仏像の制作では、必ず彫り方の難しい部分があるため、常に朗らかな気持ちでいることを心がけてきたと語った。

須藤仏師に質問する男性会員

峯坂光重教会長が、「一つ一つの出会いを大事にされる方だと感じた」と伝えると、須藤仏師は、「仏像彫刻の仕事を続けられたのは、さまざまな人とのつながり、支えがあったからです。この年になって、“過去があり、現在があって、未来がある”と気づきました」と、これまでの出会いに感謝を述べた。

約2年半ぶりに、由利本荘市の自宅から教会道場を訪れた男性会員(75)は、「全ての縁を有り難く受けとめる須藤仏師の話を聞き、改めて秋田県の誇りだと思いました」と感想を話した。

式典の責任者を務めた総務部長(69)は、「私の足りない部分を多くの人が補ってくださり、温かいつながりを感じました。参加した皆さんが、笑顔で楽しそうに過ごしてくれて良かったです」とほほ笑んだ。