「アメリカとイタリアの大統領がベサク祭にメッセージ」など海外の宗教ニュース(海外通信・バチカン支局)

タイの仏僧使節団がバチカン訪問

ローマ教皇フランシスコは5月27日、バチカンでタイの仏僧使節団と面会し、スピーチした。

2019年にタイを訪れている教皇フランシスコは思い出を語るとともに、仏僧使節団に向かい、昨年11月に同国で『傷つけられた人類と地球を治癒するために対話する同悲と愛』をテーマに開催された「第7回仏教・キリスト教間対話国際会議」に言及しながら、「確かに今日、われわれの人類と、われわれに共通の家である地球は、傷つけられている」との確信を再び表明。同会議が「暗雲の中にあっても、おのおのの宗教伝統に深く根を張り、協調への意欲を示す者たちが、絶望する人類に一条の希望をもたらすことができる」と打ち出したことを評価した。

同会議が「誰も一人では救われない。われわれは、相互に結び付けられ、依存し合っている存在であるが故に、共にあってのみ救われる」と指摘したことを重要視する教皇フランシスコは、「市民社会、他宗教の信徒、政府、国際機関、科学、研究学院共同体、そして、平和と友愛を支持していく友情を促進し、より包摂的な世界を構築していく他の全てのパートナーと、協力するように」と奨励した。また、「全ての人間、特に、青年と子どもたちを、他者と環境に対するケアと配慮へ向けて教育することの重要性」に触れ、「祈りと瞑想(めいそう)が、私たちの心と意識を浄化することによって、全てのことを変革させることができ、他者と地球に対する尊敬とケアの精神を滋養しながら、憎悪と報復のあるところに情愛、慈悲、許しをもたらす」とする、仏教徒とキリスト教徒による合同声明を称賛した。

教皇はスピーチの最後に、タイの仏僧使節団が聖エジディオ共同体(カトリックの在家運動体)の本部教会(ローマ市内)で28日、同共同体のメンバーと共に世界平和を祈ることに賛同し、スピーチを結んだ。

聖エジディオ共同体は28日、「タイの仏僧使節団との対話は、世界平和構築に向けてのテーマを中心に展開され、対話の精神と諸宗教間における協調の価値を擁護し、深めていくことの重要性が指摘された」との声明文を公表。この協調の精神に沿い、タイの仏僧使節団は、(同共同体の推進する)“人道回廊(難民の合法的受け入れ)”を通して、イタリアに入国して生活している難民と会うことを希望し、彼らへの連帯を表明した。

(宮平宏・本紙バチカン支局長)