能登半島地震 金沢教会会員が本部スタッフと支援活動

金沢教会の青・壮年部では、週末を中心に被災地域の会員宅を訪れて支援活動を実施。倒れた家具の整理や廃棄する家財の運搬などを、真心を込めて行っている

能登半島地震の発生から間もなく3カ月になる。石川県の発表によると、被災地では3月12日時点で輪島市、珠洲(すず)市を中心に約1万5170戸で断水が続き、9760人が県内で避難している。また、仮設住宅の建設が進み、被災者の入居が始まっている。こうした中、立正佼成会金沢教会の会員は、本会本部の派遣隊と協力して支援活動を継続している。

同教会では発災以降、教会幹部たちが向當亜希子教会長(北陸支教区長)と心を合わせ、会員の安否や生活状況を把握する手どりを展開している。また、定期的に災害対策会議が開かれ、手どり先で出会った会員の様子や必要とされる支援について共有。現場の要望を的確に支援へとつなげる「依頼書」の集約状況を確認しながら、迅速な支援活動に努めてきた。本会災害対策本部(本部長=熊野隆規理事長)も本部スタッフを派遣し、現地ニーズを把握しながら被災宅の片付けなどの支援に取り組んでいる。

教会で災害対策の指揮を執る向當教会長は支援活動の心構えについて、「震災はとてもつらいことですが、その惨事やつらさにとらわれず、学びの機会と受けとめて、信仰のある喜びを味わえるよう全会員とつながることが『心の復興』に結び付く」と強調。支援活動を通して、自らの中にどう感謝を見いだせるかという自行としての功徳をかみしめ、サンガ(教えの仲間)と共に分かち合っていきたいと話す。

こうした願いを受けた青・壮年部では2月上旬からこれまで、本部派遣隊のメンバーと協力して、被災地域の会員宅で真心を込めた支援活動を実施。損壊した家屋の雨漏りを防ぐブルーシート掛けや転倒家具の整理、廃棄する家財の運搬のほか、仮設住宅へ入居する会員の引っ越し作業などにも汗を流してきた。

仕事が休みになるたびにボランティアに駆けつける支部壮年部長(51)は、金沢市内の自宅の近所で地震に遭遇するも家屋の損傷はなく、妻や3人の子ども、自分の両親など同居する家族は皆無事だった。いのちの有り難さを実感するとともに、被災した人々の力になりたいと強く願ったという。

「これまで家族に何か問題が起きても、教えとサンガの支えによって救われたおかげで、動じない心を培うことができました。支援活動への参加はサンガへの恩返しのつもりです」。そうした後ろ姿に促されて、子どもたちも青年ボランティアに参加する意思を示しているという。活動を通して家族が一つにまとまり、皆が生きる喜びを実感できる家庭づくりを目指すと意気込む。

一方で、被害が最も大きかった輪島市や珠洲市では、被災した会員の安否確認を中心に手どりが行われている。2月18日には、松任東支部の支部長(68)、女性会員のTさん(72)ら6人が輪島市立河井小学校に避難する女性会員のYさん(80)に会いに行った。Yさんは、かつて金沢市の近くで、支部長やTさんと同じ支部に所属し、共に修行に励んだ。

一人で暮らす輪島市内の自宅には、7年ほど前に転居した。地震で自宅の倒壊は免れたものの、ライフラインは寸断。家の中は家財道具が足の踏み場もないほどに散乱した。避難所では、持ち前の明るさで、被災した同世代の数人と交流した。自宅に彼らを招き入れて茶話会を開くことを目標に家の中を片付け、近くの港まで散歩をして健康を維持することを日課にしているという。

会員たちは、手どりを通じて無事を喜び合うとともに、信仰によってつながる大切さをかみしめた

Yさんは手どりのメンバーを温かく迎える中、Tさんの姿を見つけると、「元気で何より」と顔をほころばせ、無事を喜び合った。Tさんから受け取った機関紙誌を大事に抱えながら、「前を向いて歩いていきたいね」と話す。そんなYさんの姿に目を細めたTさんは、「彼女を励ますつもりでしたが、逆に元気をもらえたことに感謝しています」と話した。

現在、教会では週末を中心に青・壮年部員による被災会員の支援活動を実施している。今後はさらなる参加者の増員を図るとともに、自宅の衣服整理や台所の片付けなどを担う女性会員の募集も検討していく。本部派遣隊も教会のニーズに応じた支援を行う意向だ。