「ベトナムが常駐の教皇庁代表受け入れに合意」など海外の宗教ニュース(海外通信・バチカン支局)

教皇が朝鮮戦争休戦協定70周年記念ミサに際してメッセージ

7月27日は、1953年に板門店で調印された朝鮮戦争の休戦協定から70周年にあたる。1950年に始まった朝鮮戦争は、朝鮮半島の38度線上にある板門店で行われた、南北朝鮮、米国、中国の代表者による協定で休戦となった。だが、和平協定はいまだ結ばれていないため、国際法上では現在も戦争状態にある。さらに、北朝鮮による核開発、弾道ミサイルの発射、日本人拉致問題が背後に横たわっている。

ローマ教皇フランシスコは、7月27日にソウルの大司教座聖堂で挙行された韓国カトリック教会による朝鮮戦争休戦協定70周年を記念するミサに際し、同国カトリック司教団に宛ててメッセージを送付した。この聖堂は、韓国カトリック教会が約30年にわたり毎週、南北間の和解のために祈りを捧げてきた場所だ。

教皇のメッセージは、バチカン聖職者省長官のユ・フンシク枢機卿によって代読された。この中で、教皇は「70年前の休戦協定が対立関係の終焉(しゅうえん)を意味するだけでなく、朝鮮半島と全世界にとって永続性のある和解、友愛、調和といった輝かしい未来をも示していかねばならない」と訴えた。

また、韓国の司教、神父、修道者、信徒たちが、この機会に「正義、平和、喜びに満たされた、全能の神の王国を建設するための努力を新たにするように」と伝えている。

さらに、戦争や紛争は「人類家族、特に、より傷つきやすい私たちの兄弟姉妹を苦しめる」と指摘し、それらは「私たちに、正義、共同体の内部や諸国民間の協調を擁護、促進していくための恒常的な意識を覚醒する必要性を劇的な形で思い起こさせる」と戒め、「韓国の全国民が“平和の預言者”であるように」と呼びかけた。

代読後、ユ・フンシク枢機卿は「教皇フランシスコが望まれている北朝鮮訪問を実現できますように」と祈った。教皇自身は、すでに「北朝鮮政府からの招待があれば平壌に行く準備はできている」と発言している。
(宮平宏・本紙バチカン支局長)