イスラエル軍の攻撃で高まる緊張――ヨルダン川西岸地区(海外通信・バチカン支局)

世界教会協議会(WCC)のジェリー・ピレー総幹事は5日、公表した声明文の中で、「1万8000人のパレスチナ難民に対する緊急人道援助」を国際社会に訴えるとともに、「多くの攻撃がそうだったように、今回の軍事作戦も中東紛争を激化させる」と述べた。

国連のグテーレス事務総長は6日、イスラエル軍による軍事介入を「過剰な実力行使」「近年で最悪の暴力行為」と非難。「緊張が高まれば流血の連鎖が高まるだけ」と指摘し、「2国家共存に向けた政治プロセスに対するパレスチナ人の信頼を回復することがイスラエルの安定につながる」と語った。

欧州連合(EU)や欧州諸国、日本などの外交官約30人は8日、ジェニン難民キャンプを視察(共同通信7月9日付)した。報道によると、EUの駐パレスチナ代表フォンブルクスドルフ氏は、「イスラエルは国際法を順守しなければならない」「犯罪者(パレスチナ武装勢力)を拘束するのが目的ならば、ほかの方法もあったはずだ。なぜ空爆や大規模な地上部隊の展開が必要だったのか」と伝え、武装勢力と民間人を区別しないイスラエル軍の武力行使を問いただしたという。

ローマ教皇フランシスコは9日、バチカン広場で行われる日曜日恒例の正午の祈りの席上、「聖地で起こった新たな流血事件に対する苦痛」を表明しながら、「イスラエルとパレスチナの両政府が、直接対話を再開することで暴力の連鎖に終止符を打ち、和解と平和へ向けた道を開けるように」と訴えた。
(宮平宏・本紙バチカン支局長)